【ミニマル歯科治療】集大成!!超高レベルの審美歯科研修会終了

こんにちは。歯科医師の松浦直美です。

先週末、昨年6月から参加してきた東京都内での審美歯科の研修が、終了しました。

東京および神奈川で開業されている二人の新進気鋭の歯科医師、二宮佑介氏および榊航利氏の主催する「ADI:Advanced Dental Institute」。

国内外の審美歯科分野、特にこのブログでもよく話題にしている「MI:Minimal Intervension(ミニマルインターベンション)」(ここでは分かりやすくミニマル歯科治療として紹介)の考え方を軸にした、世界でも最新の美しい治療についての知識や技術を惜しみなく教えてくれる稀有な講習会です。

Contents

人体で一番美しい!「エナメル質」を保存する治療

ミニマルインターベンションとは、直訳すると「最低限の侵襲」。どんな治療にも身体への「侵襲」はつきものですが、そこを極力小さくして、かつ効果的な治療を目指すという考え方です。

歯科の場合、それはやはりやはり「いかに歯を削らずに治療するか」。

以前は、「審美歯科」と言えば、私たち歯科医師でさえ、「歯を大きく削ってピカピカのセラミックを入れ、歯の色や形、歯並びを修正する治療」というイメージがあり、「美」のためなら、多少の犠牲(歯を大きく削る、神経を取る、など)は仕方がない、と思っていました。

ところが、「接着」の技術が大きく発展した現在では、歯をあまり削らずに一番表層の硬い部分「エナメル質」を極力保存することで、歯の弱い部分を露出させたり、歯がしみるなどの症状を起こすことなく薄いセラミックで修復することができるようになったのです。

エナメルとは、陶器やガラスの表面に吹き付けるガラス質の塗料(琺瑯:ホーロー)のことで、つやつやと透明感のある美しい素材。その名のついたエナメル質は、人体で最も美しい部位であり、きちんとした技術を用いることで、人工のセラミックとも一枚のガラスのように強固に接着します。

しかし、この技術はしっかりとした知識と、プロトコールの理解が不可欠であり、多くの他の出席者の先生たち同様、私も正直「初めて聞く」「初めてやる」話や実習も多かったのも事実。世界の最先端というのは、どんどん先に行っているなあ、という感じでした。

「外科」を避けて確実な治療

エナメル質の保存のほかに、今回のセミナーで注目したのは、なるべく「外科的な治療」を避けて、身体への侵襲を防ぐというもの。

例えばお腹の手術でも、開腹ではなく「腹腔鏡」を使用して、なるべく体に負担のない方法を選べるようになりましたよね。

実は歯科でも、「切った貼った」の外科処置は、意外と多いのです。特に、虫歯が深かったり、歯の状態が悪かったりすると、歯を支える骨や歯ぐきを切ったり削ったりして、なんとか歯を保存しようと尽力することがあります。

しかし、ここでも「ミニマル治療」は威力を発揮。今まで考えもつかなかった方法で、歯ぐきの中の部分にまで進行してしまった虫歯がある歯でも、侵襲の高い外科的処置をせずに、予知性の高い被せ物などの処置をすることができるようになりました。この事実も、私にはとても衝撃でした。

そこに「愛」があるのです!

今回、年間単位の審美歯科研修会に参加させていただいたことをきっかけに、一般の方向けにごく簡単に、歯科の「ミニマル治療」がどこまで進んできているのかを、かいつまんでお話ししてみました。

開業してからしばらく経ち、この歳でやっと資金をやりくりしてこのような高レベルの(そして高額な)研修を受けることができるようになりました。

しかし、いつもこのような研修会に参加するたびに思うことがあります。

やはり素晴らしい治療を熟知し、論文を読みまくり、自分のものにして、それを他の歯科医師に教えようとするような意識の高い先生たちに共通するもの。それはお金儲けでも名誉でもなく、「愛」なのだなあ、ということ。患者さんへの愛、「歯科」への愛、そして自分が専門とする「歯」や「口腔」への愛なのです。

恐ろしいほど自分にストイックにしなければ、あの領域には達しない。私たち参加者は、その途方もない努力の賜物を、後からちょっと参加して、お金を払い、分かりやすくまとまったものをいただいて、マネしているだけなのです。

今回研修した内容は、保険治療で行うことは難しい治療です。

しかし、このような治療があることを、適応の患者さんにはなるべくお話したり、分かりやすく資料をまとめるなどして、お伝えしていきたいと思います。

「高いから」という理由だけで聞く耳も持たないのでは、もったいないことだと思いますから。

10歳以上も若い講師の先生に、いつも感動をいただきました!

 

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