第23回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖〜美容院で思う

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、歯科医院を共に営む夫(真面目なのでここではマジオ君)とともに、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年から書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。
1 必ず毎月、どちらかが書く。
2 内容は、歯科治療以外の事とする。

歯科医師夫婦のつれづれ手帖vol 23 ~美容院で思う
(MDCニュースレター2021年5月号)

「今回は白髪用にしますか?」久しぶりにカラーをしようと去年から行きつけになっている美容院を訪れて、美容師に聞かれた。「えっ?私、白髪あります??」思わず聞き返してしまった。聞くと、白髪用のカラーと普通のカラーは違うらしく、私の頭にちらほら白髪を見つけた美容師が、白髪も染まるカラーを提案してくれたらしい。

 若白髪だった母に似ず、白髪が生えることがあまりなかった私も、確かにこの頃少し・・・ほんの少しですよ、あ、こんなところに白髪が、と思うことがあった。でも、美容院で改めて聞かれたのは初めて。ちょっとショックだった。

 思えば美容院って、残酷なところだ。

きれいにしたい、気持ちよく過ごしたいと思っていくところなのに、普段考えない「年齢」をつきつけられるのはいつも美容院。顔が大写しになるあの鏡もそうだが、意外なバロメーターは美容師が選んでくる雑誌。

 40代が目前になったころ、私の年齢を知らないはずの美容師が、雑誌「STORY」を私の前に置いた。とてもおしゃれなその雑誌のことは知っていた。でも、「40代の雑誌」というイメージがあった。迷いもせずにその雑誌をポン、と置いた若い美容師は、ひそかに私が傷ついたことも知らず、にこやかに話しかけてくる。「STORYを読む年になったのか・・・」と、本当にがっかりしたのを覚えている。

 それからは、他の美容院で、30代向け雑誌「VERY」などがおかれると「よしよし」、「女性自身」がおかれると「うーん?」、「STORY」がくると「あ、やっぱりか」などと楽しめる余裕もできた。40代も半ばを過ぎ、50代の声が聞こえてきた今では、「ストーリー」をおかれると「ありがとう♡」という気持ちになってしまうから時のたつのは本当に早い。

 40になったころは、すごく年取ってしまったと思った。でも、今では40歳なんて、まだまだ子供。これから何でもできるじゃないか、と思ってしまう。でも・・・たぶん、もっと目上の方から見たら、40代後半だって、まだまだ子供なんだろう。70代の母はいまだに、「若いうちになんでもやりなさい、今しかできないよ」と激励してくれる。70代に言われると、本当にその通りかもと思ってしまうから不思議だ。

  美容院での仕打ち(?)に耐えながら、数年後50代になっても「STORY」を置いてもらえるよう、楽しく美しく年を重ねられたら幸せ、と思う。(2015年MDCニュースレター5月号より のあみ文)

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