1年生からまた始めます。筋金入りのプロフェッショナル 〜歯科医師夫婦のつれづれ手帖 vol 141~

「歯科医師夫婦のつれづれ手帖」は、2010年から歯科医院を営む夫婦が、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年より院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。なんだかんだ言ってもう12年、続いています。

ルールは2つだけ。

ルール1 必ず毎月、どちらかが書く
ルール2 内容は、歯科治療以外のこととする(時々ルール違反あり)

第141回 1年生からまた始めます。筋金入りのプロフェッショナル


ほとんど馬券を買うことは無いのですが、日曜日の午後に競馬中継番組を見ることが楽しみです。

疾走するサラブレットの姿は美しく、人馬一体で繰り広げられるドラマには筋書きがなく、魅了されます。見えないところで、どれだけの人がどのように関わっているのかは知る由もありませんが、表舞台に立てる馬は、選ばれて育成された一握りのエリートなのは想像できます。

その中でも時折、時代を席巻するスーパー名馬が登場します。
例えば「アーモンドアイ」。切れ長の目を名前の由来とするこの牝馬は、美しいだけでなく本当に強かった。

日本競馬史上最多の芝GⅠ9勝を挙げ、5歳で引退しお母さんになっています。その名馬を育てあげた名調教師国枝栄さんも、今年の3月に定年で引退しました。

国枝栄さんは、東京農工大学農学部獣医学科に進学し、馬術部に所属して時間やアルバイトの稼ぎも馬術につぎ込んだそうです。大学卒業後も馬に携わりたいと考え、開場されたばかりの美浦トレーニングセンターの厩舎に調教助手として入職しました。

調教師免許を取得し、ご自身の厩舎を開業するまでには相当の努力があったはずです。
冷静で理論的な調教スタイルと、馬の個性を最大限に引き出す手腕で、
日本競馬史に名を残す名トレーナーとなりました。

名馬アーモンドアイ

なんと、その名伯楽は定年退職後、休む間もなく4月、競馬界に再就職したとのこと。
こっそりと補充員制度に応募して厩務員への転身です。
餌やりや寝ワラ上げなどの馬の世話をする仕事です。
社長が掃除のスタッフになるようなものです。

勤務初日の感想を問われて、「小学1年生みたいな気持ち」と答えたそうです。
若いスッタフと楽しそうに馬の世話をする70歳の国枝さんが目に浮かびます。

最近の様子。インスタグラムより

筋金入りのプロフェショナルだと思いました。
馬への、競馬界への、そして自分の仕事への愛を感じました。
涙が出ました。
自分の仕事に誠実に、愛情をもって取り組んだからこそ、馬もそれに応えて素晴らしい成績を残すことが出来たのではないでしょうか。

国枝さんがお元気で、ずっと大好きな馬と競馬界に貢献し、幸せな人生を送られることを望まずにはいられません。
(文: 松浦 政彦)

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