デンタルスクエアの庭で、水やりしながら考えた〜〜第118回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖

「歯科医師夫婦のつれづれ手帖」は、2010年から歯科医院を営む夫婦が、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年より院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。2024年4月の移転後も、なんだかんだ言って続いています。

ルールは2つだけ。

ルール1 必ず毎月、どちらかが書く
ルール2 内容は、歯科治療以外のこととする(時々ルール違反あり)

第118回 デンタルスクエアの庭で、水やりしながら考えた

一つの小さな街のようなつくりの当医院において、待合室や診療スペースから見える植栽も重要なポイントです。

植栽の作業も、何とか4月11日の診療開始に間に合わせていただきましたが、植えたばかりの草花は、なんともヒョロヒョロで頼りない。
「根付くまで、1か月ほどはしっかりと水やりするように。」と、職人さんにご指導いただいたため、毎朝の水やりが私の日課となりました。

さて、始めてみると、これは思ったより大変。

隅から隅まで満遍なくやると、たっぷり1時間ほどかかりました。
既存のホースでは不十分であったため、あらたに30mのホースを用意したは良いのですが、長いホースを一人で扱うのは大変です。

テレビ撮影現場で、カメラケーブルをアシスタントさんがさばいているのを見たことがありますが、誰かに手伝ってもらえたらどんなに楽でしょう。

しかし、毎日やっていると、ホースの扱いもコツがつかめ、水の当て方も効率的に出来るようになり、40分ほどで終了可能になりました。

まさに、「継続は力なり」を実感しました。

また、一日休むと、その結果が如実に表れます。
明らかにヘナヘナになり、「なんで昨日水をくれなかったの?」と、私を責め立てます。

「ゴメンゴメン」と謝りながら、たっぷりと水を与えると、次の日にはまた、イキイキとした姿を見せてくれます。

子供の教育と同じように思いました。

あまり変わらない日常においても、やるべきことを手を抜かずやることで、確かな成長を促すことが出来るのではないでしょうか。

「孤独」についても考えました。

あくまでも、草花の健やかな成長のためにやっていることなので、「誰かに褒めてもらいたい」などとは、これっぽちも思ってはいません。

作業している間も、多くの人が脇を通り過ぎていきますが、「精が出ますね!」なんて声かけてくれる方は、一人もいません。

「おはようございます!」と、お声掛けしますが、返事をしてくれる方は半数ほど。

老いも若きも自分の生活に懸命で、あまり余裕がないのかと思ってしまいます。

そんななか、小学生から「おはようございます!」と不意に声かけられると、「なんだか今日は良い日になりそうだな」なんて、思ったりもします。

私の手を離れたこの頃は、自分の力でどんどん成長していく姿を、毎日楽しみにして見守っております。 

(文: 松浦 政彦)

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