性格は変わらない、変えられない 〜第109回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖〜

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、2010年から歯科医院を営む夫婦が、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年より院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。

ルール1 必ず毎月、どちらかが書く
ルール2 内容は、歯科治療以外のこととする(時々ルール違反あり)

第109回 性格は変わらない、変えられない

これまでも何度かこの欄に登場している愛猫「ベル」が我が家に来て、この9月で7年になる。

ありがたいことに病気とは無縁で、動物病院のお世話になるのは、年に一度のワクチン接種のときだけだ。毎回私が連れて行くのだが、これが意外と大仕事。

自由を愛する性格ゆえ、獣医さんに押さえつけられると、ホラー映画で悪魔に取りつかれた者がするように、唸り声をあげ暴れる。

そのため、洗濯ネットに入れた状態で受診するよう指示されているのだが、これも念入りに準備して行わねば、こちらが怪我するほどだ。

子猫の頃から究極のビビりで、物音に敏感に反応し、知らない人は遠巻きに観察している。

家の者にも彼女なりの距離感があるようで、いまだに抱かれるとすぐに逃げ出し、一緒に寝ることもない。

だが人嫌いなわけではないらしい。パソコンで作業しているとちょっかいを出してくるし、息子が勉強していると、応援するようにそばにいる。具合が悪そうな者に寄り添い、心配そうにしているのは本当に愛おしい。

人が仕事をしていると、パソコンの上にどっかりと座るのが大好き

家の中にお気に入りの場所が、幾つかある。

面白いことにときどき変わるし、時間帯によって使い分けているようだ。

端午の節句の季節は、兜飾りのケース上に寝そべっているが、最近朝はダイニングの出窓から外を眺めていることが多い。

日中は、隙あらば母の部屋に侵入し、ベットの下に潜り込む。

暑い日が続いた夏だったので、陽が当たらないベットの下が心地よかったのか?箱の中や、押し入れの隙間に潜んで寝てることもある。

かくれんぼして、探してくれるのを楽しんでいるようにも思われる。

先日、家族皆で泊まりがけで留守にした。

帰宅すると。車の音で気が付いたのか、ベルは「ミャ~、ミャ~」と心細そうに鳴きながら、玄関口に待っていた。

ところが、我々の顔を確認すると、何事もなかったかのように、そそくさとお気に入りの場所に戻っていった。

留守電メッセージを再生すると、「ベル~、ベル~。今日は誰も帰らないからね~。」と留守電に一生懸命話しかける、一緒に外出していた母の声が流れてきた。

(文: 松浦 政彦)

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