1日休養、1日教養 〜歯科医師夫婦のつれづれ手帖Vol 136
「歯科医師夫婦のつれづれ手帖」は、2010年から歯科医院を営む夫婦が、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年より院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。なんだかんだ言ってもう11年、続いています。
ルールは2つだけ。
ルール1 必ず毎月、どちらかが書く
ルール2 内容は、歯科治療以外のこととする(時々ルール違反あり)
第136回 1日休養、1日教養
高市首相は自民党の新総裁に選出された際に、「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります!」 と宣言しました。何度も挑戦した末に勝ち取った責務に、高ぶる気持ちの現れだと思いましたが、ワークライフバランスが叫ばれる昨今、この発言は衝撃でした。
しかし、若かりし頃は夢中になって知識や技術の習得に 打ち込んだ身としては、共感するところも多々ありました。今や週休二日は当たり前、三日休みも出てきたようですが、この発言は「休む」ということを考え直すきっかけになりました。

調べてみると、日本に週休二日制を導入したのは、現パナソニック創業者であり経営の神様と言われる松下 幸之助氏だとか。
その際に語ったとされる「一日休養、一日教養」という言葉には、彼の深い思想が宿っていました。高度経済成長期の日本は、働けば働くほど豊かになれるという時代の空気に満ちていました。
企業は 生産性を優先し、人々は休むことより働くことが美徳とされていたのです。そんな時代の中で、彼は人間の本質に立ち返り、働き方の根本を問い直したのです。
心身が疲弊すれば、どれほど能力が高くても本来の力は発揮できないため、心も体もしっかりと休ませる 「休養の日」が必要だとしました。休むことは怠けではなく、本来の働きを支えるための重要な準備であると。
さらに重視したのが、「教養の日」です。彼にとって教養とは、単なる知識の積み重ねではなく、人間としての 幅を広げる営みを意味しました。読書でもよいし、芸術に触れることでもよい。家族との穏やかな対話や、自然の中で心を静めることでも良いでしょう。
無意味に時を過ごすことなしに、仕事以外の世界から学び、人生への理解を深めることで、人はより豊かに、より創造的になれる。そうした人間的成長が最終的に仕事の質を高め、企業を発展させると考えていたのではないでしょうか。本当の週休二日の意味を、そこに見出したのです。
休むことと学ぶことを大切にする生き方こそが、人生をいきいきと輝かせる原点だと 思います。とはいえ、いまだに休みの日もセミナーに参加したり、医院で仕事の準備をし妻に呆れられることも…。昭和生まれの私に身についてしまった習性ですが、それで心身のバランスが維持されるのであれば、それはそれでありですよね。 (文: 松浦政彦)






















