第31回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖〜 娘の帰省にまつわるエトセトラ

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、歯科医院を共に営む夫(真面目なのでここではマジオ君)とともに、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年から書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。
1 必ず毎月、どちらかが書く。
2 内容は、歯科治療以外の事とする。

https://www.naomi-d.net/wp-content/uploads/2021/01/08C09C6C-B18D-4272-9ACE-7C1DF0C25096_1_105_c.jpg
ベル

とうとう私がこのうちに来た時のことが話題になったよ⤴︎今では仲良しだけど、こんなことがあったなんて🙀🙀

第31回 娘の帰省にまつわるエトセトラ

娘の帰省はいつも指折り数え待ち望むことであるが、今回は少々異なった。一つには長男が受験生であり、娘が帰ってくることはすなわちセンター試験まで秒読み段階になってしまうためだ。だがこれは、娘の帰省にかかわらず時は平等に経過し、結果は長男の準備によるものなので仕方がない。もう一つの理由は、猫を飼い始めたことにあった...

娘が幼少時に、妻が犬に咬まれるのを目撃するという事件があった。それ以来「動物恐怖症」になり、柵の外から見るのはよいのだが、動物に触れることが出来なくなってしまった(ハムスターなどの小動物以外は)。娘が大学進学で上京したのを機に、動物好きの弟たちは「何か飼おう。」と企てた。しかし、「猫以上の大きさの動物を飼ったら家に帰らない!!」という娘の一声で、ハムスターに落ち着いた経緯がある。ハムスターは怪我したり弱っても対応が困難で、寿命も短い。ここ数年で三度、この手で小さな亡骸を埋葬した。「もうこれ以上、短期間で別れるのは辛い」、「まだ新たにペットを飼うのは早いのでは?」、「ペットロスを癒すにはやはりペットが...」など悩んだ上で、猫を飼うことになった。そのことを知った娘は激怒した。だが、胸の内を話したところ、理解しようと頑張ってくれた。数日後に、仔猫用のおもちゃが贈られてきた。とはいえ、実際に接したらどうなるかはわからない。猫が普段いない娘を威嚇し、恐れをなした娘がとんぼ返りなんてことにならないか、などと気をもんでいた。

さて、娘のお土産(猫用年越しそば)が功を奏したか、猫の方は思いのほか友好的に娘を迎え入れてくれた。娘の方はといえば、柵の外からは触れるようになったのだが、外に出て寄ってこられた際には走り回って逃げていた。けれども、その表情は明るく、「動物恐怖症」の症状が幾分回復しつつあるように思う。

つぎなる私の懸案は、「娘がいつ帰ってしまうのか」と「長男のセンター試験」であるが、残念ながら私がどうこう出来るものではない。猫をなでながら、運が味方するよう祈っていた。そんな2017年の正月であった。(文 まじお)

関連記事