第28回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖〜逃げてもいいんだよ

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、歯科医院を共に営む夫(真面目なのでここではマジオ君)とともに、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年から書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。
1 必ず毎月、どちらかが書く。
2 内容は、歯科治療以外の事とする。

第28回 逃げてもいいんだよ

「孫子の兵法」をご存じだろうか? 2500年程前の中国の書物「孫子」に書かれている、争いに勝つための考え方や戦い方のことである。国を超え、時代を超えて読み継がれてきたのにはわけがある。戦いのみならず、生きていく中で出会う様々な場面でどのように考え行動すべきか、多くのヒントが得られるからであろう。

「孫子」や「論語」など古い中国の書物にたいし興味はあったが、これまで敷居が高い感じであまり触れることはなかった。ある朝、新聞を読んでいて目に留まったのが、「こども孫子の兵法(監修 齋藤孝)」である。「強くしなやかなこころを育てる!」というサブタイトルにも心ひかれ子供にも読ませたいと思ったが、それより自分も読んでみたくて購入した。

この本は、「勝つためのヒント」「夢をかなえるためのヒント」「困難に立ち向かうためのヒント」「もう一歩踏み出すためのヒント」の四章から構成される。各章六つの言葉とそれを子供にわかるように訳したもの、その解説およびアドバイスがユニークなイラストとともに書かれている。

最も印象深かった言葉は「少なければすなわちよくこれを逃れ、しかざればすなわちよくこれを避く。」だ。その訳は「意味のある『逃げる』だってあるんだよ。かなわないなら、さっさと逃げてしまおう。」である。もうこれ以上頑張れないと思ったら、逃げてもかまわない。逃げることによって心も体もリセットされ、困難に再挑戦する準備が出来たり、別の目標を見つけることが出来るかもしれない。

いじめや過労死…痛ましいニュースが心をふさぐ。「頑張れ!」だけではなく、「逃げてもいいんだよ!」と言ってあげられる人が、みんなのそばに居れば良いのだがと思う。(文 まじお)

 

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