無償の愛に感謝 〜伯母を見送って〜  第106回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、2010年から歯科医院を営む夫婦が、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年より院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。

ルール1 必ず毎月、どちらかが書く
ルール2 内容は、歯科治療以外のこととする(時々ルール違反あり)

第106回 無償の愛に感謝

故郷、秋田に住む伯母が、先日86歳で亡くなりました。

母の姉にあたるこの伯母には、本当にたくさんの思い出があります。私は高校生の時に父を亡くしていますので、伯母は何かと母と私の支えになってくれていました。大学の卒業式には、親戚のみんなに「どれだけ暇なんだ」などと笑われながらも、母と二人で出席してくれた事は忘れ難い思い出です。

そして、2010年4月6日。主人とともに「まつうら歯科クリニック」を開院した日のこと。

わざわざ秋田から、「患者さん1号」になるべく、保険証をもってやってきて、診察を受けてくれたのです。目立たないテナント開業、そして当時はHPやSNSなどもなく、準備不足、宣伝不足もあって、開業の日に来院があったのは母と伯母、私の友人の娘さんをいれて7人。それでも4人もの「純粋な」患者さんがきてくれたと思ったのですが、実はその中の一人が私の友人の妹さんだったと後で判明。結局、まったくの新規患者さんは3名だったのでした。

伯母は、地元秋田で、当初まだ少なかった予防歯科に力を入れている歯科医院を受診したことをきっかけに、まじめに歯科医院に通院するようになり、当時も3ヶ月おきに定期メインテナンスに通っていました。しかし、開院の日の閑散とした状況をみて少し心配になったのでしょう。私たちの医院を応援するべく、それからは定期的に、わざわざ秋田から通院してくれるようになりました。

伯母は、長年NTTで勤務していましたので、あの年代にしては、働く女性として、歯への意識は高かったのです。被せ物は多かったのですが、きちんと治療されてメインテナンスに通っている伯母の綺麗な口腔内写真を載せて、「70代伯母の歯科メインテナンスの効果」などと、当時すべて手書きで書いていた院内新聞の「ネタ」にしたこともありました。

これからどうなることかと不安にかられた開業当時、自ら患者さんになってくれただけではなく、「予防歯科」を続けることの素晴らしい効果を、身をもって教えてくれた伯母。晩年は体調を崩し盛岡に来ることは無くなりましたが、治療よりも予防に笑顔で通う患者さんの数の方が多くなった現在の歯科医院の姿を見たら、喜んでくれるに違いありません。

やすらかに。そして、本当に有難う。これからも、見守っていてくださいね。 (2023年MDCニュースレター6月号)

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