吾輩は自由な猫である 〜第92回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖〜

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、2010年から歯科医院を営む夫婦が、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年から院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。
1 必ず毎月、どちらかが書く。
2 内容は、歯科治療以外の事とする。(時々ルール違反あり)

第92回 吾輩は自由な猫である

盛岡の端っこにある我が家の周りは、雀はもちろん、ウグイスやセキレイなどの小鳥や、色鮮やかなキジ、時にはキツネやカモシカなどが現れる風光明媚な土地である(笑)。しかし、最近我が家の周りを闊歩している動物の主流を成しているもの。それは。。。。野良猫。

 

うちで飼っている猫のところに遊びにきて、ガラス越しに見つめあったり、日当たりのいいテラスにのんびりと寝転んだりしている猫が、1、2、3、、、いや、もっといる。昨年数匹の子猫が生まれて、道路や庭を走り回り、どんどん薄汚れていく有様をみて、何ならうちで飼うなり、保護活動している方に連絡しようかと捕獲を試みたが、敵もさるもの。絶対つかまりやしない。「可哀想だから」という私に、「いや、うちの猫より野良猫の方が可哀想とは限らないよ」と中学生(当時)の息子。

 

。。。確かに。冬になったら死んでしまうのだろうな、と不憫に思っていたが、一冬越しても猫たちは元気そのもの。心優しい隣人がお孫さんにせがまれ餌をあげているらしく、まるまる太っている。

どうやらお隣さんをダイニングに、我が家のテラスをリビングに、そして庭の木の根本をトイレにして(!)、兄弟で戯れあいながら自由に生きている。一生食住に困らないであろう我が家の猫とは、生きる必死さも、喜びも、そして何とかなるさ〜、の気の持ちようも、桁違いなのかもしれない。

野良猫は問題を起こすこともあるが、「地域猫」と呼ばれ飼い主がいなくても可愛がられる猫もいる。我が家の地域は幸い駆除に躍起になる人もおらず、今のところ幸せに暮らしているようだ。野良猫に、人生の縮図を教わっているような、不思議な気持ちで、毎朝元気に闊歩する後ろ姿をみながら出勤する日々である。

(2022年 MDCニュースレター4月号記載)

 

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