ガーデニング顛末記 〜第60回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、2010年から歯科医院を営む夫婦が、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年より院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。

ルール1 必ず毎月、どちらかが書く
ルール2 内容は、歯科治療以外のこととする(時々ルール違反あり)

第60回 ガーデニング顛末記

 街を歩いたり、住宅地を通り過ぎる時に、素敵な庭で樹木、花を育てているところを見ると、とても幸せな気持ちになりますよね。

 自分たちの歯科医院も、このように花やグリーンで囲まれ、人を和ます空間にしたいと思い、開業当初は足しげくホームセンターや郊外の花苗店に足を運び、医院の前に花を植えるようにしていたものでした。

 その後念願の小さな花壇を設置し、涼しげでさわやかな印象の「風知草(ふうちそう)」を植栽。

しかし、手間がかからないと言われた風知草が一年で枯れてしまい、次の年に再チャレンジするも、また枯らしてしまうという失態。

 診療が忙しくあまり手をかけられなくなり、そのまま初心を忘れ、花壇には花もなく季節が過ぎたある日のこと。

長く通っていただいている患者さんから、「風知草がたくさんあるから、株分けしてあげる」とのお申し出を頂いたのです。さっそく株を分けて頂き、他の草花と土も購入して、休みの日に院長と二人でせっせと花壇に植えつけました。

暑い日差しの中頑張っていると、

「あら先生、素敵ねー」
「草が枯れていたから心配してたのよ」
「お水をあげようかと、となりの奥さんと話してたんです」

など、声がかかるのにびっくり。風知草を分けてくれた方も、近所のみなさんも、この小さな花壇を心配してくれていたのです。(下写真の奥、綺麗な黄緑色がいただいた風知草です)

風知草をくれる、と患者さんに言われるまで、花壇に花を植えることも忘れていたことに、本当に反省しました。

忙しさは、心を亡くす、と書きます。
玄関前には草花が咲き、笑い声が絶えない暖かい医院を作りたい、と思った開業当初の心を思い出しました。

久しぶりに花が植えられた今は花壇に目を配り、水をあげています。
1年草なので敬遠していた朝顔も植えてみました。

「あはあはと朝顔も咲き疲れたる(中村苑子)」

「風知草たちさわぎをる一日あり(岸田稚魚)」

今月の俳句の日にちなんで俳句を探してみると、風知草や朝顔の名作も多いこと。
それだけ植物と人は近いのだと思います。

俳句をひねるのは難しくとも、心をなくさないよう、たくさん花が咲いてくれることを願い、夏の終わりにはタネを採るまで楽しみましょうか。

「人老ゆる 朝顔も実と なりにけり(青邨)」

(文 松浦直美)

 

 

関連記事