友、遠方よりスキーとともに来たる。〜第90回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖〜
歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、歯科医院を共に営む夫(真面目なのでここではマジオ君)とともに、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年から院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。
1 必ず毎月、どちらかが書く。
2 内容は、歯科治療以外の事とする。(時々ルール違反あり)
第90回 友、遠方よりスキーとともに来たる。
昨年のこと。歯科医院のブログの通信欄に、長文の投稿がありました。なんだろう?と思ってみたその名前に驚きました。もう何十年も音信不通だったある友人だったのです。
数十年も前の学生時代に知り合った大阪の女性。「私をスキーに連れてって」という映画を皮切りにスキーが大ブームになり、スキーが上手くなりたいと一生懸命だった頃。私は小樽の小さなスキー場が企画した「地獄の特訓5日間」というスキー合宿に参加したのです。(ちなみに。。。。「私をスキーに連れてって」主演の原田知世さん、私と生年月日が全部一緒です!!)
その合宿で同じクラスになった、好奇心に溢れたアクティブで素敵な彼女と意気投合。雪質もあまりいいとは言えない小樽の「天狗山スキー場」での連日転げながらのスキー特訓、夜はベッドの並んだユースホステルのような宿で、当時大流行りの織田裕二、鈴木保奈美主演の「ラブストーリーは突然に」の最終回で盛り上がり、時には小樽の街にでかけてスイーツの店やガラス館を訪ね、「かすべ」という居酒屋でわいわいと語り合った。
彼女が頼んだ名物「かすべ鍋」に味がなく、「女将さん、味がないで!」「そんなわけあるかい!」「ほんとよ、食べてみて」「。。。ほんとだ!塩、入れ忘れた!」。とっくに忘れていたはずの小樽の5日間の様々な風景が一気に甦り、懐かしさと嬉しさで胸がいっぱいになりました。
しばらく行き来があった彼女とも、いつのまにか音信が途絶えてしまっていました。時々私のことを思い出していてくれたと言う彼女は、たまたま大掃除で古い私の年賀状を見つけ、なんとパソコンで検索して捜索し、歯科医院のブログに行きついて連絡をくれたのです。今もスキーを続けていると言う彼女は、安比高原に来ることになり、先日30数年ぶりに一緒にお酒を飲むことができました。
本当にすごい時代になったものです。SNSなど、ITの使い方には注意も必要ですが、こうやって古い友情を再開することができるのも、今の時代ならでは。寒い寒い盛岡の街で、案内役の私の方がすっ転んでしまい大笑い。会っていなかった数十年が存在しないかのように話がはずむ自然な再会に、お互い増えた小ジワの数も全く気になりませんでしたよ(笑)。 (文 のあみ)
まだまだ健在!当時からの小樽の名物店
さて、今回この記事を書くにあたり、記憶の中にある「かすべ」という店の名前が間違いではないかと心配になり、調べてみました。
ありました〜、小樽の居酒屋「かすべ」。
ホームページに載っている写真を見ても、当時のまま!あめ色に光る木のカウンターも、まさに「民藝」調のインテリアも、何にも変わってない。まさに、同じクラスの皆で繰り出したあの居酒屋です。
ただ、鍋の名前「かすべ鍋」は存在していない?名物は「トロイカ鍋」とありますが、そんな名前ではなかったような。でも、30年も前の話。自信はない。もし、また小樽に行ってこの店に入ることがあれば、聞いてみようかと思います。
そして、もう一軒、調べたい店がありました。
ホステスの平均年齢65歳とも70歳とも言われていたキャバレー「現代」。
さすがに当時ここには行きませんでしたが、スキー合宿を企画したスキー場がくれた小樽市のガイドブックに載っていて、興味津々。元は由緒ある古くからの社交施設で、当時も小樽のガイドブックには必ずのっている名物キャバレーでした。
どうなったのかなと思い調べてみたらスキー合宿から数年後の1999年にとうとう閉店、そしてその歴史あるビルも2012年に取り壊されたそうです。(小樽ジャーナル 消えたキャバレー「現代」)
長い年月を経て、全く同じ佇まいで営業を続ける店あり、惜しまれながらも無くなった店あり。
人との関係も、年月とともにどんどん変わります。
しかし、今回の再会劇を経て、子育てや仕事の荒波も一段落する50代になってからまた再開する友人関係というのも、これからまだまだ増えそうな気がして、少しワクワクしてきました。私を見つけてくれてありがとう。ネットに感謝。