カンニングし放題?! 謎のオープンブック試験とは? 〜第110回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖〜

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、2010年から歯科医院を営む夫婦が、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年より院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。

ルール1 必ず毎月、どちらかが書く
ルール2 内容は、歯科治療以外のこととする(時々ルール違反あり)

第110回 カンニングし放題!? 謎のオープンブック試験とは?

英国の大学の3年間の審美歯科マスターコースに、2021年から参加しています。

これは、オンラインでありながら、正規の大学院のコース。昨年はきつくなり休学しましたが、今年は思い切って再開し、スクーリングにも参加。そしてさらに、ずっとゆううつだった「進級試験」が、先日終了しました〜。

この試験。制限時間は「24時間」。教科書、資料、論文、インターネット、なにをみてもOK。3つの問題に対し、それぞれ2000単語ほどのレポートを書き上げる、というその名も「オープンブック試験」です。

たくさんの内容を暗記して、短い時間で解いていく一般的な試験に比べると、本当にユニークで、前回は「カンニングし放題かあ〜、ラッキーだなあ」、とのほほんとしていて、本当に痛い目に遭いました。

何を見てもいい、ということは、答えが一つあるわけではなく、自分なりの答えを、エビデンス(論文)に基づいて整理して書いていく、という今までの学習を本当に理解しているのかが問われることだったのです。今年はそこを理解し、前回よりはしっかり準備もして、おちついて試験を受けることができました。大人でも、成長するもんです。

在籍しているロンドン大学は、もともとは、貴族だけが入学を許されていたオクスフォードやケンブリッジ大学に対し、早くから女性や労働階級に門戸を開いた歴史があります。「クリスマスキャロル」などの著書で有名なチャールズディケンズが「真に人々のための大学。屋根裏で勉強する靴職人にも教育の機会を与えた」と称賛したほど、コロナ禍よりもずーっと前、なんと1858年から存在する独自の通信教育を持ちます。

この制度は、多くの人たちに、希望を与えてきたに違いありません。

・・・とはいえ、二宮金次郎でもあるまいし、働きながらの勉強は想像位以上に大変です。
仕事のこと、家族のこと、課題は次から次へと沸き起こり、悩みもつきません。

でも、歳をとった利点をあげるとすれば、「ケセラセラ〜」の精神と、ずうずうしさが備わったこと。
ひょいひょい、とは行きませんが、なんとか一つずつ乗り越えて、卒業を無事迎えたい、と今では夢見ています。

(松浦直美)

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