ミルクティーとアーティスト
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古い友人に会えた日
先日のこと。久しぶりに玉川温泉に湯治に行く母を送って行く途中、秋田県田沢湖町にある友人のうちを訪ねました〜。私にとっては数少ない、本物のアーティストと思う友人、田口淳子(あつこ)さん。
実際は、母の親友だった人。英語教師同士の同僚で、お互いの家を家族のように行き来していたものです。長い間独身だった彼女は、我が家の家族旅行に同行したりして、私のことも「なっちゃん」ととても可愛がってくれました。私も彼女のことを「あっちゃん」と呼んで、本当に懐いてました。42歳で父が突然他界した時には、我が家の玄関に来て声を張り上げて大泣きし、集まった親戚が「あの人誰?」と怪しんでいたくらいです。
久しぶりに田沢湖の自宅を訪ね、昔とか変わらない佇まいに思わずパシャリ。
懐かしい、出窓のある白い家
退職後本格的に画家として活動したお父さんの影響か、あっちゃんも昔から絵を書いています。その絵は、俗人とはちょっと住んでいる場所が違うように思える彼女の世界観そのもの。80歳を過ぎた今も、精力的に絵を書き続け、県展や個展で発表しています。
小さいけど、出窓のある白い家。私が小学生だった40年前は、そのヨーロッパ風の佇まいがなんとも言えず素敵で、ヨーロッパに旅行して集めたミニチュアの食器や人形などが飾られた画家の家は、夢の世界にいるようでした。玄関の前には「アトリエ フローラ」という看板が慎ましくかけられ、下は、2代目の現在のプレート。
久しぶりに訪ねた相変わらずのアート空間に浸っていると、ある記憶が強く思い出されました。小学生のころ。母とあっちゃんのうちに遊びに行った際、帰りたくなくて「ここに泊まる」と駄々をこねたのです。
生まれて初めてのミルクティーの味を思い出す
仕方なく泊めてくれたあっちゃん。しかし、小学生の子供に食べさせる朝ごはんなど、用意したことがない彼女が出してくれた朝食は、トーストに目玉焼き、そしてミルクティー。紅茶はレモンを入れて飲んだことがあるくらいだった私は、このとき初めてミルクティーというものを見て、コーヒー牛乳みたいだな、なんて思って口にしました。「げげっ!!なに、この味、まずっ!』
今は大好きなミルクティーですが、子供の私にはまったく受け付けられない味でした。憧れのあっちゃんちに泊まって、出窓の前にある小さなテーブルで素敵な朝食。その思い出は、まずいまずいミルクティーの味一色になって、今でも心に残っていました。あの頃と何にも変わらない出窓とテーブルをみて、小さな少女だった自分と、鮮やかな花模様のマイセンのマグカップに入ったミルクティーが鮮やかに蘇りました。うちに帰ったら、ミルクティーを飲もうっと。