大人の遠足はいかが 〜第49回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、2010年から歯科医院を営む夫婦が、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年より院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。
1 かならず毎月、どちらかが書く
2 内容は、歯科治療以外のこととする

第49回 大人の遠足はいかが

「ママ友」という言葉ができてもう久しいが、(実は)人見知りな私も、3人の子供に恵まれたおかげで、ママ友を超えた友情で結ばれた友人たちを得ることができた。

中でも、長女が通った市内松園の小、中、そして高校まで一緒だった母親たちとは、中学の部活、高校受験、そして大学受験から現在の就活まで、悩みを分かち合い、今でも時々集まっては美味しいものを食べたりお酒を飲んだりの付き合いが続いている。

子供たちは、「まだ集まってるの?」とあきれているが、なんのその。気心知れた仲間たちはもう子離れして、あなたたちの話題などほとんどなく、話題は自分たちの仕事のこと、趣味のこと、そしてこれからのことのみだ。もはやただのママ友ではない。

そんな中で持ち上がったのが、ときどき旅行にいかない?という議題。

あれよあれよと計画は決まり、早速第一回の目的地は「三陸」に決定。しかも、花巻から釜石まで、週末に1往復だけ走っている「SL銀河」を使って行ってみようという計画だ。

鉄道にはとんと興味のない私も、これだけは聞いたことがあった。役割を終えて運動公園に設置され、子供の遊び場になっていたSLを、賢治の世界観を見事に表現したロマンあふれる現役機関車に復活させた、人気の鉄道である。

花巻を出発して、宮守、遠野、陸中大橋などを経て、なんと4時間以上の時間をかけて釜石に向かう何とも贅沢な機関車の旅。

沿線ではあちこちで地元の人や観光客に手を振られ、鉄道マニアたちがカメラを設置してそこかしこで待ち構え、まるで自分たちがスターになったような錯覚に陥る。

時折前方から聞こえる「しゅっぽっぽー」という音も、車窓に流れていく蒸気の煙も、何もかも素敵。ロマンティックとは少々かけ離れた普段の生活から逃れ、気の置けない仲間と過ごす時間をのんびり楽しんで、また明日から頑張れそうだ。

ちなみに、切符代も驚きの安さだった。皆さんも、機会があればぜひご体験を。  (文 松浦直美)

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