第24回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖〜利他のこころ〜

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、歯科医院を共に営む夫(真面目なのでここではマジオ君)とともに、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年から書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。
1 必ず毎月、どちらかが書く。
2 内容は、歯科治療以外の事とする。

歯科医師夫婦のつれづれ手帖 VOL 24〜利他のこころ
(MDCニュースレター 2016年6月号より)

京セラ株式会社の創業者稲盛和夫氏の本を読み、「利他の心」という言葉を知ったのはだいぶ前のことだ。

「強い思い、情熱は成功をもたらす。しかし、それが私利私欲から生じたものであれば、成功は長続きしない。私利私欲を完全に捨て去ることは不可能だが、働く目的を利己から利他へ移すことにより、願望の純粋さが増す。」といった内容だった。

ご本人は意識してないかもしれないが、まさにこの「利他の心」で仕事をされている方の、エネルギーあふれる講演を拝聴する機会があった。その方は「あいうべ体操」の発案者、みらいクリニック(福岡市)の今井一彰氏である。

今井先生は、アトピーなどのアレルギーやリウマチなどの膠原病等で苦しむ患者さんに接し、口臭をもつ方が多いことに気付いた。それをヒントに調べてみたところ、それらの方々の多くは口呼吸をしていた。「命の入り口である口が口呼吸で乾燥し汚れ、それが離れた部位の症状に関与しているのでは?」と考えた先生は、鼻呼吸が出来るように舌や口腔周囲の筋を鍛える「あいうべ体操」を発案した。

あいうべ体操の詳細はこちら↓↓(みらいクリニックホームページより)

あいうべ体操

「『あいうべ体操』で症状が改善されると、患者さんが来なくなっちゃうんです。商売あがったりです。」と笑いながら話されていた。薬も不要(あるいは減量)になり、日常生活を取り戻した患者さんの笑顔を見ることが、先生のエネルギー源なのだろう。「あいうべ体操」を普及させるために、日本中を飛び回っている。さらに驚くべきは、体操のやり方や効能を記した「あいうべ体操カード」を製作し、何枚でも送料無料で配布している。名付けて「あいうべ体操カード破産プロジェクト」!? これを「利他の心」と言わずして何と言おう。

口呼吸は、歯周病や歯列不正、ドライマウスなど歯科的な疾患にも深く関与している。盛岡で今井先生の話が聞けるまたとない機会であったため、当院スタッフほぼ全員で参加させて頂いた。

先生から知識とともにパワーを頂き、自信を持って患者さんにお勧め出来るようになった。我々にしてみても、患者さんの笑顔が一番の活力源であることは言うまでもない。「あいうべ体操カード破産プロジェクト」で送って頂いたカードを活用し、多くの患者さんに福音をもたらしたいと願う。

(MDCニュースレター6月号より 文責:まじお)

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