第32回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖〜秋田県民の優越〜

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、歯科医院を共に営む夫(真面目なのでここではマジオ君)とともに、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年から書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。
1 必ず毎月、どちらかが書く。
2 内容は、歯科治療以外の事とする。

第32回 秋田県民の優越

秋田県大曲市(現大仙市)に生まれ育ち、ばりばりの秋田弁ネイティブだった私も、すっかり盛岡という小都会で暮らすうちに秋田弁を話していたことなど忘れ、今は標準語とは言わないが、一応日本人なら誰でも理解できる日本語を話している(つもり)。こんな私も、故郷に帰ってスーパーなどに行くと、周りから聞こえてくるなつかしい秋田弁の響きに、ノスタルジーを感じる前に驚いてしまう。今時ここまでの方言、なかなか聞くことができない、感動する。大曲は花火だけではない。流ちょうな秋田弁の協奏曲を、ぜひ聞いてみてほしい。

故郷に帰って人と会うと、秋田県民はきちんとなまって話す。目上の人への敬語や、メール、フェイスブックのおしゃべりも、秋田弁である。

お隣岩手県も、おんなじだと思っていた。高校を卒業して盛岡に移り住むまでは・・・。

盛岡に住むようになって気づいた。みんな、(そんなに)なまっていない。ちょっと独特のアクセントはあるけど、基本的にきれいな標準語である。子供たちも、特に岩手弁を意識せず成長した。

進学のため東京に住む我が家の娘。初めのころとても困った友人たちとのやり取りがあった「岩手出身? なまってみて!」 自己紹介が終わるたびにお約束のように言われるこのセリフ。テレビ番組の影響か、方言に対する興味は深い。友人たちは、娘が一生懸命なまりを封印して暮らしていると思っているらしい。「なまり方、わからない」と困っていた娘も、数年暮らすうち、標準語だと思っていた言葉のいくつかが、岩手独特のものだと気づくことがあるという。例えば「中ズック」。うわ履きのことをこういうのは、東北と北陸の一部だけだそうである。いまでは、携帯のラインのスタンプも岩手弁のものなど探して、友人にウケようと努力している姿に、娘の隠れた岩手魂を見る。・・・しかしである。岩手を出てから、ネットで岩手弁を勉強している。・・・やはり岩手県民は、まだまだである。(文 もと秋田県民 のあみ)

 

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