東京下町散歩 〜歯科医師夫婦のつれづれ手帖vol 54

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、2010年から歯科医院を営む夫婦が、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年より院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。

ルール1 必ず毎月、どちらかが書く
ルール2 内容は、歯科治療以外のこととする(時々ルール違反あり)

東京下町散歩

セミナーや学会に参加した際、隙間時間の利用を楽しみにしている。

東京の際は美術館を訪れることが多い。
先日の出張時は上野の森美術館で行われている「フェルメール展」にと思ったのだが、前売り券がなければ数時間待ちとのこと。
断念し、初めての谷根千(谷中、根津、千駄木)散策へと予定を変更した。

スマホで検索したモデルコースを参考に、日暮里駅からスタート。

「御殿坂」を登っていくと、左手に「谷中せんべい店」。購入した海苔せんべいをほおばりながら歩を進めると、「夕焼けだんだん」と呼ばれている階段が。階段を降りたところが「谷中銀座商店街」の入り口である。ガイドブック片手の多くの人でにぎわっていた。「猫の町」とも呼ばれているようだが、猫雑貨の店や猫に関連した店が多い。「しにものぐるい」というはんこ屋さんでは、猫やハムスターなどの絵柄と好きな字体を選んで、自分だけの認印を作ることができる。30分位ででき上るのだが、私は後にネットで注文し、現在院内の公式でない書類に使用している(ご希望の方には、来院時お見せいたします)。「やなかしっぽや」というドーナツ屋には、猫の名前が付けられたしっぽのような細長いドーナツが10種類以上も。愛猫家の私は、かわいそうで食べられません…。

谷中銀座商店街を通り抜け千駄木駅へ。そこから「三崎坂」を登っていった左手に「日乃本帆布谷中店」。帆船(はんせん)の帆に使う布地として作られた丈夫で軽い素材と牛革を組み合わせた、素敵なかばんやジャケットなどがならんでいる。全て手作業で作られているそうだ。めったに衝動買いすることはないのだが、一目ぼれしたかばんを一品購入し、即その後の散策のお伴とした。使い続けることによって、今は硬い帆布がどのようにこなれていくか楽しみだ。

坂を登り切り右折し、「言問通り」を下っていく。この辺りには雰囲気のあるお寺が多い。そのうちの一つ「玉林寺」には昭和の名横綱「千代の富士」の銅像があった。高さ210cm、右手に太刀をもったりりしい像である。天国から大相撲界を良き方向に導いてもらいたいものである。

「不忍通り」横切り、最終目的地の「根津神社」へ。1900年ほど前にヤマトタケルが創祀したとされる。国の重要文化財である社殿は見ごたえがあった。神社詣は、厳かな空気の中で心が洗われるようで好きである。また、七五三参り家族の笑顔に癒された。

限られた時間ではあったが、思いのほか充実した散策となった。後で在京の友たちから、お勧めの穴子すし屋や串あげ屋なども教えてもらった。次回の谷根千散策では、それらの店で一献傾けながら、さらにディープに東京の下町を楽しみたいと思っている。 ( 文: 松浦 政彦 )

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