夏の終わりのラプソディ 〜第39回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖
歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、2010年から歯科医院を営む夫婦が、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年より院内新聞の一角に書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。
1 かならず毎月、どちらかが書く
2 内容は、歯科治療以外のこととする
第39回 夏の終わりのラプソディ
毎年8月最後の週末、岩手県の多数の歯科医師が一堂に会する「岩手県歯科医師会地区対抗親善野球大会」が開催される。
各地区の歯科医師会が持ち回りで主管を務め、今年は岩手八幡平歯科医師会が担当で、雫石町と滝沢市の球場で試合が、大懇親会はつなぎ温泉のホテル紫苑で行われた。
悪天候や震災の影響で実施されなかった年もあるが、実に32回を数え、県内13地区14チームから約250名が参加した。一日目の予選を勝ち抜いた4チームのみが翌日に進めるのだが、負けたチームも含め初日の夜には大懇親会で会員間の親交を温める。
盛岡市歯科医師会は、A,B,Cの3チームで参加する。Aチームはベテランの先生方が中心、Cチームは若手中心、Bチームは中間層という編成だが、守備位置等を考慮し均等な戦力になるように調整する。
ここ数年私はBチームで参加している。しかし、一昨年は酷い五十肩で参加出来ず、昨年はリハビリを兼ねた参加、今年が本格復帰となった。Bチームは昨年まさかの初戦敗退で二日目に進めず、今年はリベンジを誓って練習をしてきた。
さて、大事な初戦の相手だが、なんと盛岡市Aチーム。一緒に練習しており手のうちは知った者同士、さらに野球を知っている老獪な選手が多く侮れない。Bチームは作戦会議と称した飲み会でチームの結束を図り、難敵に立ち向かったのだった。
さて、当日。朝に降った雨の影響で試合開始が遅れ、「1時間を超えて新しいイニングに入らない」という変則ルールで行われることに。
「先に流れを掴んだ方が有利」とふんで、先攻を選んだ。その作戦が功を奏し、エースの好投や外野手のファインプレーも出て勝利することが出来た。
二戦目は昨年の準優勝チーム「気仙歯科医師会」。切れ目のない打線と、切れの良いスライダーが武器の好投手を擁する強豪である。
幸先よく先制するも、ヒット性のあたりが好捕されたりで追加点が奪えない。逆に、相手打線の勢いを止められず残念ながら敗退と相成った。
さあ、切り替えてもう一つのお楽しみだ。短時間に二試合を行いボロボロになった身体を温泉で癒し、部屋でチームメイトと乾杯の練習をした後、大懇親会になだれ込んだ。なかなか会うことの出来ない他地区の先生方とも、珍プレー好プレーをあてに話がはずむ。
中締めの後は、カラオケに興じる者、部屋にもどってエンドレスで飲み続ける者、二日目の試合に向け調整する者など様々だが、いずれも笑顔晴れやかな中年野球小僧たちだ。
歳も考えずにはしゃいだこの大会が終わると、まさに夏が終わったことを実感し寂しくなる。年々イメージしたプレーは出来なくなり、筋肉痛は長引くようになってきた。
年に一度の楽しみではあるのだが、「身体を鍛え直し来年に臨むか」、「大けがをする前に引退するか」、思案中の今日この頃である… (文: 松浦政彦)