第30回 歯科医師夫婦のつれづれ手帖〜五十にして

歯科医師夫婦のつれづれ手帖は、歯科医院を共に営む夫(真面目なのでここではマジオ君)とともに、医院を訪れる患者さんに自分たちの人となりを知ってもらいたいという気持ちから、2014年から書き始めた小さな文章。
なんだかんだで続いています。
ルールは2つだけ。
1 必ず毎月、どちらかが書く。
2 内容は、歯科治療以外の事とする。

第30回 五十にして

先月の誕生日をもって、満五十歳になってしまった。孔子は「五十にして天命を知る。」と言ったそうだが、私は日々の仕事や子ども達のことなど思いを巡らさねばならぬことが多く、そうのような境地には至ってない。ただ、五十歳はやはりひとつの区切りであるように思い、今までの誕生日とは異なる若干の違和感を感じていた。「何かの参考になるかも…」と考え、「50代にしておきたい17のこと(本田健 著)」を読んでみた。

17のテーマおよびその解説については概ね共感できる内容であったが、最初「おやっ?」と思ったた項目がある。それは「不義理をする」というテーマである。言い直すと「嫌ならノーと言おう」ということだ。

職場でも家庭でも、50代ともなれば好き嫌いは別にして大概の事はできるかもしれない。また、様々なしがらみの中で頼りにされ、断りづらい事もあるだろう。まさに50代は多忙であり、自分の事は後回しになりがちだが、同時に無理がきかなくなってくる頃でもある。自分の時間や健康、心の平安を保つには「ノー」と言うことも必要。『何でも「イエス」と言うのは、やりたいことも、やりたくないことも一緒くたにして、結局はすべて義理で、仕方なくこなしているにすぎません。』という一文を読み、ストンと腑に落ちた。

50代は充実した年代で、やってきたことをさらに進化させることも、あるいは新たに何かに挑戦することも可能だと思う。しかし、20代や30代のように多くの時間が残されているわけではない。「やりたいことか否か」の線引きをし、「心が軽く感じる事をやる」と決意した。

さて、五十歳になってからすでに3週ほど過ぎたのだが、「心が軽く感じる事」はそんなにあるものではない…。が、一つ紹介。

院内で使用する靴を変えた。外反母趾を防止する独特の曲線が付与されており、足にフィットし心地良い。また、かかとが厚く、履くと数センチ背が高くなり、少し先が見渡せるようで気に入っている。五十歳のスタートとしてはあまりに些細な買い物であったが、そんなものでも仕事が楽しくなるのだから、人生捨てたものではない(笑)

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