「デンタルサロンの窓から」始めました。

11年目のデンタルサロン

北国の都市に歯科医院を開業して、あっというまに10年。

この街は出身地ではないし、親戚もいない。当然、親が歯科医院をやっていたとか、土地持ち、ビル持ちの有力者というわけでもない。

政治家じゃないけど、まさに地盤なし、看板なし、鞄なし。開業のために借金をしようにも、銀行はなかなかまとまった額を貸してはくれず、秋田の田舎にある実家の土地を借金のカタに、小さな歯科医院をテナント開業する資金をなんとか確保できたという状態だった。

それでも何もないのも悪くない

でも、カバン(資金)はあったほうがいいが、地盤も看板もない、というのは自由なものである。極端な話、日本のどこに行っても、仕事をすることはできる。ただ、この街に家があったので、ここで開業する、というのは自然な流れ。身軽にテナント開業し、いつかはどこか別の土地へ、または別の街へ行くかもしれない。正直、はじめはそのくらいの気持ちで、「場所」を探した。紆余曲折の末みつけた場所が、今の古いマンションの一階の50坪ほどのスペース。家賃は少々高いが、駅に近く、前に7台、後ろに6台ほどの駐車スペースも含まれる。

のちに、雪かきに泣くことになるのだが、駐車スペースごと貸してくれるというこのテナントの条件は申し分なく、ここで歯科医院を始めることに決めた。

あれから10年。本当にいろんなことがあったけど、地盤のなかった私たちの歯科医院も、いまでは本当にたくさんの患者さんに通っていただけるようになった。それとともに、「おなじみ」の患者さんも、本当に増えた。今では、「どこか他の土地へ」という選択肢はなくなってしまったように見える。そして、どんなにたくさんの患者さんに通っていただけるようになっても、決して忘れない患者さん。それは、開業当初から応援し、信頼し、通ってくださっている方達。お互いに職業も、食べ物の好みも、家族構成も、みんな知っている。定期メインテナンスの予約表にいつもの名前を見つけるたび、歯科衛生士ごと、本当に信頼してもらえているんだなと温かい気持ちになる。

「デンタルサロンの窓から」は、歯科医院の公式ブログとは別に、自分がこれまで、そしてこれからも力を入れていきたい小児予防矯正と、審美歯科治療の紹介に加え、ここで出会った忘れがたい患者さんたちのことを、忘備録のように書き綴りたいと開設したプライベートプログです。「歯科」に興味がある方もない方も、ぜひ覗いてみてね。現代アートの世界(!?)を覗いたような気持ちになるかもしれませんよ。

 

 

 

 

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