歯科移転決定!! 建築家と語る。歯科に「経年美化」はあるのか??

こんにちは。歯科医師の松浦直美です。

当院は、およそ1年後に近隣への移転を考えています。開院以来、マンションの一階を借りて診療してきましたが、定期メインテナンスに通院する患者さんも増えて、手狭になっていました。駐車場が足りない!とのお叱りも随分前から受けており、以前から移転地を探していました。

今年に入ってから、近隣に良い土地が見つかり、とうとう移転が現実化することになりました。

設計をお願いすることになったのは新潟市で建築事務所を構える建築家、東海林健氏。

彼が設計した新潟の歯科医院建築をネットで偶然見つけて、自然素材を生かした内装や、薪ストーブの火を使った全館暖房など、人に優しくセンスの良い建築に感動し、新潟まで見学に行かせてもらいました。私たちよりはだいぶ若い2代目の歯科医師夫婦が運営している、本当に素敵な歯科医院です。(新潟県燕市:齋藤歯科医院(建築誌や東海林健事務所HPには、「燕の歯科」として掲載されています)

まったくの偶然ですが、代表建築士の東海林氏は、私の出身地、秋田県立横手高校の○年後輩でした!!そのことを知った時はお互い本当に驚いたものです。

模型を何度も作り直す

新潟と盛岡という遠隔ではありますが、来年末から再来年始めの移転を目指し、計画が始まりました。

あまり潤沢とは言えない予算の中から、工夫をし、基本設計を何度も吟味して、立体的な模型を製作して盛岡まで車を飛ばしてやってきます。その精密な模型を見た時は本当に驚きました。

模型を製作し直すこと3回。やっと基本的な設計が決まりそうな段階まで来ました。

先日の打ち合わせでは、外壁の素材について。

建築家東海林氏の提案は、「木」。新しく修正した模型にも、木の外壁が貼られていました。

手作りの紙でできた薪ストーブや、親子連れの人形まで配置された模型。

木の壁は劣化が心配!

木の壁は、雰囲気があって大好きです。しかし、気になるのが「経年劣化」。我が家の近所にも、素敵な木の壁の家がありますが、雨の当たる下の方からだんだんと黒く変色しています。聞けば、さらに部分的に灰色に変化していくとか。

「それは困ります〜、新しいうちはいいけど、古くなった時が心配」

そういう私に、建築家さんは、「その変化を、経年劣化と見る方もいれば、経年美化という方も多くいますよ」

「経年美化??」初めて聞くその言葉に、驚きます。

天然の素材は、時を経て雰囲気が出てきます。やはりメインテナンスは他の素材よりも必要になるのでしょうが、なんとも味わいが増してきて、「劣化」ともいえるけれども「美化」と捉えて味わう方も多いのだとか。

歳を重ねて味わいが増すのは人間も同じ。でも歯はどうでしょう?

確かに、人間も、年齢を重ねて味が出てくる人は多いですよね。若い頃そんなに美男美女ではなかった方も、経験を積んで、そのシワや目の奥に自信を湛えた素敵な大人は多くいます。

木の壁も、中に暮らす人たちと一緒に成長し、素敵な味わい深さを深めてくれるのかもしれませんね。

しかし、歯に関してはどうでしょう?

歯に関してだけは、「経年美化」は望めないのは、わざとらしいほど白く作り替えた芸能人の歯を見てもわかることと思います。

歯が一番綺麗なのは、やはり生えて数年の若いうち。真珠のように真っ白に輝いていた歯も、だんだんと黄色みをおび、細かい亀裂にさまざまな着色が重なったり、すり減って前歯の先端がギザギザになったりと、「年齢」が如実に現れる部位になっていきます。

それを、急に若い頃の真珠のような歯置き換えるので、一部の有名人の「不自然なまでの真っ白な歯」になります。さまざまな経験を経て、笑い皺、悩みシワを刻んだ味わいのあるお顔に、大理石のような真っ白な歯は合わないでしょう。

自然な審美歯科とは、年齢を重ねていくお顔にあった色や形であると考えます。

しかし審美歯科である以上、実際にはどうしても「経年劣化」してしまう歯のままでよい、ということではありません。あくまでも清潔感がある白さと、すり減って短くなったり薄くなったりした歯を「健康的で美しい」形に復元していくのが、年齢を重ねた方への審美歯科の理想形ではないかと思います。

そのような歯科治療を行っていく新しい場所。その場所を包む外壁は、やはり木が相応しいような気がしてきました。

岩手がほこる美樹、「落葉松(からまつ)」の外壁

わたしはお隣秋田県の出身ですが、なぜか秋田には落葉松はありません。

見た目は杉にも似ていますが、杉よりもふっくらしていて、先がつぼんだその形は本当に美しく、葉を落とした後もなんとも言えない形良い樹形があらわになって、大好きな樹です。いつも、からまつの林をみると、ヨーロッパの風景のようだな、と思います。

それを知ってか知らずか、建築家の東海林氏は外壁に岩手の誇る美しい樹「からまつ」を使用すると言いました。

岩手で初めての建築を手がける彼らは、設計を始める前に2回ほど岩手を訪れて、さまざまな街並みや景色をみて歩いたとか(どこの建築も、その街を知るところから始めるのが彼らの流儀だそうです)。岩手の美しいところ、受け継がれているものなどを、その設計に生かしていることが、その細やかな模型をみてひしひしと伝わりました。

落葉松(からまつ)の名の通り、黄色く色づき、葉を落とす美しい木。

はじめはその「劣化」を恐れた私たちでしたが、今では大好きなからまつの外壁がどのような味わいを見せてくれるのか、楽しみでしょうがなくなりました。

たくさんの方に、新しい医院でも快適な歯科治療、そして歯科メインテナンスを受けてもらいたい。

まだまだ少し先の話にはなりますが、みなさまもどうぞ楽しみに、お待ちください。

 

 

 

 

 

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