【40代からのオーダーメイドメインテナンス】変わり種?つまようじ法を味方につける。

こんにちは。歯科医師の松浦直美です。

中年期以降、日本人の多くが罹患していると言われる歯周病。今日は、30代以降に増えてくる歯周病対策の一つとして、ちょっと変わった歯磨きの仕方がありますので、ご紹介いたします。

少しコツがいるためやや難易度が高く、できれば取り入れてる歯科医院でプロの磨き方を体験し、しっかりと指導してもらってから始めてほしいやり方です。しかし、歯周病予防の考え方としては歯科医療従事者としても「目からウロコ」ですので、これから当院でも積極的に取り入れていく予定です。

歯科メインテナンスに来る意味をもう一度考えよう

現在は、地域の歯科医院の尽力もあり、以前に比べると多くの方が定期メインテナンスに通院するようになってきているのではないかと思います。このブログを時々のぞいてくださっている方には、もう「耳にタコ」ができているだろうと思われる「歯科メインテナンス」の一番の目的。

それは、虫歯の発見ではなく、普段の歯磨きでは取り除ききれない「バイオフィルムの除去」です。

口腔内には、およぼ800種類ほどの細菌がいると言われ、その中の9割が「嫌気性菌」、つまり酸素を嫌う悪玉細菌です。これらが、ふわふわと口腔内に漂っているうちは大した悪さをしないのですが、歯の表面にくっついて強固な膜をつくり、その中でどんどん仲間を増やして増殖すると、薬効成分を寄せ付けないバイオフィルムとなり、虫歯や歯周病などの病気を引き起こします。

しかし意外なことに、バイオフィルムは歯ブラシなどの毛先がしっかりと届いていれば簡単に除去することができます。とはいっても、お口の中は複雑。100%汚れを落とす歯磨きをできる人は、いません。歯ブラシの毛先を逃れて増殖したバイオフィルムを取り除くのが、定期メインテナンスの大きな目的の一つです。

細菌がいても、負けない歯肉を作る

では、バイオフィルムを完全に落とすことができれば、虫歯や歯周病になることはないのでしょうか。

はい、常に「完全に」落とすことができれば、絶対に虫歯にも歯周病にもなりません。

しかし、定期メインテナンスにくるのは3〜6ヶ月に一度。もちろんそれでも、溜まった汚れや、歯周ポケットの中の汚れを定期的に取り除くことで、かなりの予防効果が期待できます。しかし、病原菌をやっきになって除去することにだけ尽力していては、ちょっと定期メインテナンスに通う期間が開いてしまっただけで、また歯周病が進んできたりするものです。

病原菌の塊、バイオフィルムを取り除くことに加えてやるべきことは、「歯肉を強くする」こと。それが、定期メインテナンスでの術者磨きと、ご自宅での歯磨きです。

術者磨きとは、歯科医師や歯科衛生士によるプロの歯磨き。

バイオフィルムを取り除くのは専用の機械(エアフロー)に任せて、プロの歯磨きは歯肉のマッサージ効果をおもな目的としています。

歯肉の血行をよくし、出血を減らしていく「つまようじ法」とは

バイオフィルムを取り除くことはもちろん大切。

しかし、この細菌たちは、あるものがなければ生きられません。それは、「鉄分」。そう、歯茎からの出血です。歯科メインテナンスでの歯周病の検査で、歯肉から出血が多い方は、今後歯周病が進行していく心配があります。まずは歯肉の炎症を抑えてひきしめることで出血を止めることが、バイキンの息の根を止める効果的な方法になります。

そこで、当院が歯周病の初期治療や定期メインテナンスの際に行うことがあるのが「つまようじ法」というブラッシング方法。

歯肉をマッサージするような歯磨き方法は昔からいろいろと考えられてきましたが、何種類もの「補助歯磨き道具」が必要だったり、塩でマッサージすればよいというような完全な自己流のものだったり。下手なマッサージや強い圧での歯磨きは、歯肉下がりの原因にもなってしまいます。

多くの歯科医院で指導されている「バス法」は、45度の角度で歯と歯ぐきの境目に向かって毛先を当てる優れた方法ですが、こちらも歯ぐきが下がりやすい方には少し心配な磨き方であると同時に、あまりマッサージ効果は望めません。

世界中で推奨されているバス法。歯ぐきに向かって45度の角度で毛先を当てますが、強く当てると歯ぐき下がりの心配があります。

せっかく定期メインテナンスにいらしたら、歯周病の心配があり、検査の際出血が多い方には、メインテナンス時には高いマッサージ効果があり、かつ歯肉下がりの心配のないつまようじ法を体験していただきたいと思います。

独特な形状の歯ブラシを使用し、バス法とは全く逆の上向きの角度で歯肉に毛先を当てるつまようじ法は、やや難しくコツがいります。セルフケアとしても取り入れたい方は、正しいやり方を習得した歯科医師や歯科衛生士のつまようじ法ブラッシングを何度か体験し、指導を受けてから行うようにしましょう。

歯肉を強化させる独特の形状のつまようじ法用の歯ブラシ「V7」

もちろん、つまようじ法をうけるのは定期メインテナンスの時のみ、ご自宅ではバス法などのいつものセルフケアで、というスタイルでも待ったく問題ありません。歯科衛生士が、「オーダーメイド」で対応いたします。

誰もが健康になれる歯科メインテナンスを

歯科医院に定期メインテナンスにいくたびに、汚れを染め出されて「ここが磨けていない」「ここに気をつけて」などど言われて、メインテナンスにくるのが嫌になっちゃう方、いませんか?

もちろん、歯に対する意識がすごく高くて、歯磨きも上手。さらに綺麗にしたいから、ここの磨き方を教えて、などという少数派の方には、もちろん歯科衛生士もしっかりと指導させていただきます。

しかし、大半の「そうでもない方」で、「でも健康のために」、はたまた、「来いと言われたから」定期メインテナンスにいらしている方たちには、そこまで厳密に「歯の磨き方」を指導する必要はないと思っています。その方の「やる気」や「興味」の度合いを鑑みて、雑談がメインで終わる方あり、ちょっとだけのワンポイントで終わる方あり。あとは歯科衛生士がプロの歯磨きや、バイオフィルムの除去を行います。

プロとしてのこちら側がしっかりとその方を診つづけていれば、セルフケアが少々できない方でも必ずその方の口腔内は良くなっていくのです。途中で面倒になって来なくなるようなやり方ではなく、「継続してメインテナンスに来院していただくように寄り添う」ことが何より大切なのではないかと思います。そのうちに、「そのつまようじ法、教えて」と言ってもらえたら、嬉しいですけどね。

まとめ

今日は、少し変わった歯磨き方法「つまようじ法」について、ご紹介しました。この磨き方は、原則として全ての方に適用になりますが、ある程度年齢の高い方で、歯周病が進んでいたり、歯ぐきが腫れぼったくて出血が多かったりという症状の方には特に効果的な方法です。

セルフケアに取り入れられればもちろん素晴らしいですが、慣れない方には、まずは歯科医師や衛生士に「治療」として磨いてもらう、という使い方をお勧めしています。歯ぐきが刺激されて、「気持ちいい」と感じる方が多いです。

この「気持ちよさ」も、定期メインテナンスを無理なく続けていただけるポイントになるのではと思います。

 

 

 

 

 

 

 

関連記事