Dental Hygienist 〜歯科衛生士 この専門性の高い仕事〜

こんにちは。歯科医師の松浦直美です。

雨が降りやすくぱっとしないお天気が続く盛岡ですが、朝夕は肌寒いくらい涼しくなって、庭の緑は生き生きしているような気がします。

出勤のためドアを開けると、目に飛び込んでくるむせかえるような緑と透明な蒼い空気。盛岡の端っこで、とても不便なところだけど、毎朝のこの瞬間にどれだけささくれだった心が癒されてきたことか。

さて、本日は、ブログを訪ねてくださったみなさまに、「歯科衛生士」という仕事をご紹介します。
歯科医院に定期的に通う習慣がない方にとっては、もしかしたら「聞いたことのない」仕事かもしれませんね。

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歯科衛生士(ハイジーニスト)とは

そんなの知ってるわよ!

という方は、すみません。

しかしかくいう私も、この仕事につくまでは、歯科にいる女性はすべて「看護師さん」だと思っていました。

歯科衛生士(Hygienist:ハイジーニスト)とは、看護師や助手とは全く違う国家資格。3年間専門学校に通い、国家試験を受けて資格を得ることができます。

歯科衛生士法において、その主な業務は

  1. 歯科予防処置
  2. 歯科保険保健指導
  3. 歯科診療補助

となっています。歯科医師の診療の介助をしたり、歯周病の検査、歯石とり、口腔衛生指導など、その仕事は多岐に渡ります。歯科治療が終了した方への定期的なメインテナンスのほか、高齢化社会が進む日本では、高齢者の口腔衛生状態を改善することで、誤嚥性の肺炎を激減させるなど、歯科衛生士の活躍する場は増える一方だということができるでしょう。

最近では、海外の歯科医院のように、歯科医師の診療補助は行わず、自分の「メインテナンスルーム」を与えられ、患者さんのメインテナンスを専任で行う歯科衛生士もいます。

当院でも4つのメインテナンスルームがあり、それぞれの部屋は衛生士の裁量で好きなように装飾したり、自分の趣味の絵や写真を飾ったりして良いことになっています。歯科医師が働く治療のブースよりも、ずっと居心地が良さそうなんですよ。

海外では、「良い職業ランキング」で常に上位!

さて、最近はともかく、少し前までは日本での認知度はあまり高くなかったと思われる歯科衛生士という仕事ですが、アメリカやヨーロッパ、オーストラリアなどの先進国では、歯科衛生士という仕事は広く認知され、その社会的地位もとても高いとされています。

口腔内の衛生や歯並びなど、歯に対する意識が高い国ほど、歯科衛生士の存在意義が高くなるのは当然のこと。

もちろんその収入も高く、物価の違いはあれど、アメリカの歯科衛生士の平均年収は700万円以上。

アメリカやオーストラリアなどでは歯科衛生士の資格でできることも多く、歯周病治療などで必要な場合は麻酔を打つことができたり、レントゲン撮影もできます。そのため、歯科衛生士業務(歯科メインテナンス、歯周病治療、予防処置、ホワイトニングなど)だけを行うクリニックを、歯科衛生士が開業できる国もあり、人々は歯科衛生士のもとに定期的に通うことで、清潔な口腔内を保ち、問題があれば歯科医院に紹介されるという流れが整っているのです。

その高い専門性と、十分な収入、清潔な歯科医院での仕事、そしてなにより定時に終わる環境で女性のライフスタイルにあう仕事は魅力が高く、アメリカでは「ベストヘルスケアジョブ」というランキングで常に上位にランキングされているそうです。

「歯科医院はコンビニより多い」などと揶揄し、週刊誌などで一部の歯科治療を批判するなど大袈裟なネタにされることも多い日本と、歯科医院の存在意義をよく知り、そこで働く歯科衛生士への待遇も桁違いの国々。

どちらの国民がよりその恩恵を受けることができるかは、火を見るよりも明らかでしょう。

美意識の高い方へ。My 歯科衛生士を持つ贅沢。

上記にように、日本と欧米では、歯科衛生士の待遇や働き方に乖離があるため、歯科衛生士不足という深刻な問題も起こっています。

しかし、人々の意識の向上、働き方の変化などによって、平日の日中という時間に歯科医院に定期メインテナンスに通う方が増えてきたため、難しい歯科治療はへり、遅くまで働いたり、週末にも診療したりといった歯科は減ってきているように思います。

それと同時に、予防歯科に力を入れている歯科医院には一定数の歯科衛生士が在籍し、しっかりとしたメインテナンスを受けることができるようになってきました。これは、美意識の高い方にとっても朗報ですよね。

歯科医院に定期的に通う理由はなんでしょうか。

それは、私たち歯科医療従事者の考える理由とは少し違うことも多いのではと感じます。

治療した歯の不具合がないか確かめたり、普段の歯磨きで落としきれない汚れ(バイオフィルム、または歯垢)を取る。新しい虫歯の芽ができていないか。歯周病が進んでいる場所はないか確認し、治療が必要かどうか判断する。

それが、私たちが考えるメインテナンスの意義。

しかし、いいんです。患者さんはそんなことを詳しく考えなくても。

歯科医院に足を運び、歯肉や歯をチェックし、プロにしっかりと歯磨きをしてもらう。必要なところに高濃度フッ素などの予防処置を施し、セルフケアのアドバイスをもらう。

それだけで、文字通り身も心もぴかぴかになりますよね。

そして、いつもの歯科医院、歯科衛生士に会いにきて、ちょっとした会話を交わし、安心と気持ちよさを味わう。

そんなちょっとした贅沢を感じるために、歯科への定期通院をしてくださる方が少しずつ増えているのだと思います。

もう一つ、美意識の高い方に、歯科衛生士への定期訪問がお得な理由を紹介します。

最近普及してきた「エアフロー」というパウダークリーニングは、グリシンパウダーを吹き付けることで歯を傷つけずに綺麗に汚れを落とし、私たち術者も、拡大鏡でみると歯の表面の汚れのベールが一層さあ〜っとむけるような、快感を味わうことができます。

当院ではメインテナンスルームすべてにスイス製の最高機種「エアフロープロフィラキシスマスター」を設置して、メインテナンスにいらっしゃる方にこのパウダークリーニングを提供しています。ホワイトニングなしでも、かなり歯の色が明るくなりますよ。

ここまでは健康保険が使えて、3割負担の方で3500円ほど。

3〜4ヶ月に一度の3500円の出費でこの医療サービスが受けられることは、ぜひ皆さんに知っていただきたいと思っています。

そのほか、歯質を強化するトリートメント、ホワイトニングなどをご希望の場合は、保険外治療になります。

最後に

歯科衛生士というお仕事のこと、わかっていただけましたか?

歯科衛生士は、私たち歯科医師よりも患者さんのことをよくわかっていると言っても過言ではありません。

健康に注意したい方も、もっと綺麗になりたい方も、見つけるべきは「マイ ハイジーニスト」。

それだけで、人生まで変わる。私はそう思っています。

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