前歯の隙間を無かったことにできたらすごくない? Case1 : 口呼吸で出歯ちゃん

こんにちは。歯科医師の松浦直美です。

先日、前歯の間に隙間がある歯間離開(歯間空隙、正中離開など、いろいろな言い方があります)について、記事を書きました。

一口に隙間を閉じると言っても、たくさんの方法があり、それぞれにもちろん利点、欠点があることはお分かりいただけたことと思います。

今日から何回かに分けて、先日ご紹介した隙間を閉じる方法の中でも、普段から私の医院でも人気が高く、また、インスタグラムでも反響が大きかった最も侵襲(体に対するダメージ)が少ないとされる治療方法について、お話します。

前歯の隙間を閉じることができること。そしてその選択肢を知ろう。

歯と歯の間に空隙ができる理由は多くあります。

1。歯と顎の大きさの不調和
2。歯の数が足りない。
3。口呼吸などによってい歯が出っ歯になり、隙間が開く。

それに対して、昔は隙間なんかなかったのに、年齢を重ねるにつれて歯と歯の間の隙間が気になるようになることもあります。年齢を重ねてからの原因は、下記が考えられます。

1。途中で抜歯などにより歯の数が減ってしまった
2。歯周病により歯を支えている骨が減ってしまい、歯が動いて隙間ができた
3。長い間の噛み締めやはぎしりによって、歯が動いた

この方は、上記の「原因」でいえば上から3番目の「口呼吸などの習慣により、歯が出っ歯になってしまい」その結果として、隙間ができた状態。

もちろん、これはこれで「ご愛嬌」、歯と歯の間に隙間があっても、それを個性や美しさとして捉えるもの、全然アリです。

イギリス人モデルのジョージア・メイ・ジャガー。ミックジャガーの娘さんです。典型的な口呼吸と、それに伴う前歯の離開がみられます。
それなのに、それがかえって、なんとも言えない色気と、忘れられないほどのインパクトがありますよね。これが口元キリリとした「普通の」美人さんだったら、モデルとしてこんなに成功することはなかったかもしれません。

でももし、「この前歯の隙間が気になってしょうがない人がいたら」。

ここで、審美歯科の基本の基本。「本人が気にしているのかどうか」という質問が出てきます。本人が気にしていて、前歯の隙間を閉じたいと思っている人がいれば、閉じる方法がある、しかも複数あることを知らせることは歯科医師の役目。何しろ、ずっと気にしていたけど、前歯を閉じる方法が矯正治療しかないと思っている方がとにかく多いのですから。

コンポジットレジンによる閉鎖

一番時間とコストがかからず、体への侵襲のない方法はコンポジットレジンという材料を使って、歯と歯の間を埋めてしまう方法です。虫歯の治療をしたことがある方なら、コンポジットレジンですでに治療したことのある方は多いと思います。いわゆる、「白い詰め物」です。保険治療でも広く使われている材料で、長い歴史があり、とても優れた材料です。

ちなみに、このコンポジットレジンが保険適用で使われている先進国は日本くらいではないでしょうか。海外ではちょっとした詰め物でも、数万円はゆうに超えるはずです。

まあ余談はさておき、国民保険のシステムがある国においての保険治療の基本は「病気を治すこと」。同じ材料を使っても、病気ではない(虫歯ではない)歯を、見た目の改善のために治療する場合は、美容整形と同じく自費治療になります。もちろん、保険で使われるコンポジットレジンとは違う、審美歯科ように研究され尽くした材料を使用しますが、保険とは全く違う費用設定になるのは、患者さん側にもご理解いただかなければならない点です。

さて、前述の患者さんは、前歯の隙間をコンポジットレジンで閉じて、向かって左側の歯の出っ張りを少しだけ、形を修正(下写真緑の部分)することで、自然な形に隙間を閉じることができるのではないかとデザインしてみました。

ごく数ミリ程、緑の部分の形を整えるための切削はありましたが、あとは歯を全く削らずに、コンポジットレジンを接着していきます。多くの製品が出回っていますが、我が国日本製の製品は本当に優れていて、私が在籍しているイギリスの審美歯科大学院では、日本人と言うと「トクヤマ!大好き」(トクヤマは日本のメーカーで、下記の白いコンポジットレジンを製造しています)と言われて驚いたものです。

さて、その「トクヤマ」製コンポジットレジンを使用して、終了した治療がこちら。

 

治療前と比べても、継ぎ目もわからず、ごく自然な形に仕上がるのが、本当に素晴らしい点です。麻酔なし、切削ほぼなし、そして治療時間40分です。

このような治療は、MI(Minimal Intervension:最小限の侵襲)治療と言われ、世界中で取り組まれている最新の歯科治療です。もちろん良いことばかりではなく、セラミックなどとちがい多少の経年劣化があり、メインテナンスで研磨をしたり、修正をしたりと言った「手入れ」が必要です。しかし、適切で最小限の手入れを行いながら、大きく歯を削ることなく、最後まで使うことができれば、それは素晴らしいことではないでしょうか。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

症例写真は、患者さんのご厚意のもと、ご了承を得てブログで紹介させていただいております。ご協力に心より感謝いたします。

 

 

 

 

関連記事