【ミニマル歯科治療】白い斑点を消す。「アイコン」の実力は?

こんにちは。歯科医師の松浦直美です。

【ミニマル歯科治療】は、今世界的に「標準」になりつつある「Minimal Intervention(ミニマルインターベンション:最低限のダメージで行う治療)」をわかりやすく説明するためのシリーズです。

歯は、削ってしまえば元に戻らない大切なもの。特に、表層のエナメル質という硬く美しい部分をなるべく残すことは、歯の寿命にも大きく関わってきます。

今日のミニマル歯科治療は、意外と気にしている方も多い「あの症状」への、ミニマル対応のお話です。

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生まれつきの白い斑点・・・これ、なに?

前歯の目立つところに、白い斑点があって気になる方は、意外と多いのです。ただ、多くの方が、「虫歯ではないし、痛くもないので」あきらめています。何よりも、「この斑点が治る」という概念が、一般の方にも、さらには歯科医療従事者の間にも、まだまだ広がっていないのが事実でしょう。

これは、ホワイトスポットと言われる症状で、主に二つに原因が分けられます。

1. 初期の虫歯
大抵は歯と歯ぐきの境目の汚れがつきやすいところや、矯正器具の周りなど、プラークの落としにくいところに現れてきます。初期は白い着色ですが、だんだん色が濃くなったり穴が開いたりします。
2. 虫歯以外の原因
遺伝、エナメル質形成不全(幼児期の怪我、乳歯期の重度の虫歯、高熱、感染症、遺伝など)、もしくは特に原因不明のことも。

以前はこのような症状があれば、原因が虫歯以外であれば、「そのまま様子をみる」か、「削って白い詰め物を詰める」しか方法はありませんでした。実際当院でも、どうしても気になる、という方の斑点部分を削って、白い材料を詰めたことは何度もあります。

虫歯によるホワイトスポットなのか、虫歯以外のホワイトスポットなのかは、その方の口腔衛生状態や、起こっている部位、見た目などで、鑑別は比較的容易です。虫歯による白斑であれば、まずはしっかりとした衛生指導や食事指導から始めなければなりません。

今日話題にする「ホワイトスポット」のミニマル治療は、主に2の「虫歯以外の原因」で白斑がある方への対応です。

ホワイトスポットを目立たなくする。「アイコン」の実力とは

「Icon(アイコン)」とは、ドイツで開発されたホワイトスポット治療のための製剤です。

ホワイトスポットになっている部分は、内部がスカスカになって弱っています。

歯科で白い詰め物に使われる「コンポジットレジン」。これを、極限まで粘性を減らしてトロトロのお薬にしたものを、ホワイトスポット部分に染み込ませて内部から歯を強化することで、不自然な白い色が目立たなくなってきます。

これが、「アイコン」によるホワイトスポット治療です。歯の表面を少しだけ磨きますが、削ることはなく、痛みも全くありません。

保険外診療になり、費用はクリニックにより違いますが、1本の歯につき、2万円〜3万円ほどの設定が多く、より症例が多い専門のクリニックでは6〜7万円ほどの費用で行っているところもあります。ホワイトニングなどと違い、継続して行う治療ではなく1回で終結しますので、決して高いということはないのではと個人的には感じています。

*適応かどうかの見極め、および全く消えてしまうというところまではいかない場合もありますので、事前のカウンセリングは必ずしっかり受けるようにしましょう。

白斑が消えてうれしい

当院の患者さんの例です。

前歯の隣の尖った歯、「犬歯」は、他の歯よりも色が濃いことが多く、ホワイトスポットも目立ちます。この方はずっとこの色を気にされていました。

白飯が目立って気になる!

お薬が他の歯や歯ぐきに付着することがないように、対象の歯以外はゴムのマスクで覆います。

嘘のように白斑が消えて、つやつやの歯に。

歯を削ることなく、このようなホワイトスポットを目立たなくするアイコン治療。ホワイトスポットが目だなたくなるだけではなく、弱っている歯の内部もしっかりと補強してくれるため、とても理想的な治療ではないかと思います。

まとめ

ホワイトスポット(白斑)を気にしている方は、意外と多くいらっしゃいます。「何とかなりませんか?」という相談はよくあります。

今まで、「削るしかありません」としか言えなかったホワイトスポットに、全く削らずに治すという選択肢ができたのは、とても活気的であると思います。

アイコンによるホワイトスポットの治療の前に、ホワイトニングをしておくことは、さらに最終効果を高めてくれるでしょう。

シミのない肌と同じく、スポットのない歯を求める方も増えているようです。歯にダメージを与えない、ミニマル歯科治療に、また一つ、最強選択肢が増えました。


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