イギリスに似ている!?岩手の自然に魅せられた外国人教師のインビザラインは引き継げるのか

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Hello! Harrow!

こんにちは。歯科医師の松浦直美です。

2週間ほど前の8月29日、当院院長の故郷、八幡平市のほど近く、安代町(あしろちょう)の安比高原(あっぴこうげん)駅のすぐ近くに、英国の名門パブリックスクールであるハロウスクールのインターナショナル校が開校しましたー。

インターナショナル校とはいえ、世界的に有名な名門校が開校するとあって、地元安代町はもとより、岩手県全体が、その経済効果や、国際交流などの今後への期待でワクワク感いっぱい。地元メディアは数ヶ月前から何度も、校長先生と県知事の会談を取材したり、建築中の学校を紹介したりと、大きな話題になっていました。

安比高原(あっぴこうげん)といえば、日本でも有名なリゾート地。
とはいえ、私にとってはとても身近なスキー場であり、子供たちが小さい頃からとスキーをしたり、夏にはブナ林のトレッキングをしたり、ミニゴルフをしたりと、気軽で、思い出深い遊び場。

なのにハロウスクールの招致が決まってから、安比には海外資本がどんどん参入し、資産家の父母の利用などを見込んでか、高額な宿泊料のインターコンチネンタル、クラウンプラザなどの国際的なホテルも完成しています。

なんだか、北海道のニセコみたいに巨大リゾート化していって、安比らしさが失われていくのかなあ、と少し寂しくも思っていたのですが、先日当院に診察にいらした安比に赴任したばかりという南アフリカ人の女性教師(ここではハロウ先生)が、私の考えを変えてくれました。

オマーンで始めた矯正治療を終了させたい!

そもそも、ハロウスクールAPPIに8月に赴任したばかりのはろうK先生が、私の医院にお見えになった理由。

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Harrow先生

私は前の赴任地オマーンで、矯正治療を始めたのですが、その治療の引き継ぎをお願いできないかしら?

以前の赴任地であったオマーンで始めた矯正治療を、終了させてほしい、というものでした。彼女が行っていた矯正治療は、「インビザライン」といって、取り外し式の透明で薄い装置を、歯にはめて少しずつ歯を動かしていく、というアメリカで開発された治療方法。現在では、世界中で広く行われており、本当に多くの症例が積み上がり、はじめてこの治療法が日本に上陸した頃に比べると、格段にその信頼性と再現性は上昇したと感じます。

インビザラインについて、インビザライン社のホームページだけではわからないあれこれ情報をまとめた記事はこちら↓

 

世界中で広く行われているインビザライン治療は、治療計画はすべてコンピューター上で行われるため、情報の共有もしやすく、様々な事情でどうしても前医のもとで治療が続けられない方は、治療を他の歯科医師に引き継いでもらうことができます。

私の医院は矯正専門ではないのですが、一般歯科をする上でも、小児育成矯正の仕上げとしても、患者さんに貢献できるインビザラインの大きな可能性を十分感じていましたので、仙台市でインビザライン専門で長く診療している矯正専門医と提携して、インビザライン治療を提供しています。

本来、矯正治療に限らず、歯科治療は、一段落するまでは同じ歯科医師または歯科医院のもとで行うのが理想です。コンピューターを利用したインビザラインは、世界中どこでも引き継ぎが可能ですが、患者さんにとっては同じ歯科医院で治療を終了した場合に比べ、引き継ぎ医に支払う多少の余分な費用がかかります。それに、いくらオンラインでの計画や引き継ぎが可能だとは言っても、「クリンチェック」と呼ばれる治療計画をさまざまな資料をもとに精密に計画するのは、コンピューターではなく担当の歯科医師です。同じ歯科医師のもとで、最後まで納得した治療を受けるのが一番良いに決まっています。

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Harrow先生

先生〜、そんなこと言わないで!!もう日本に来てしまったし、私は、最後に歯と歯の間に残った隙間が気になるの。

インビザラインは、治療中または治療が終盤になってから、「追加アライナー(Refinement)」と呼ばれる「軌道修正」や「仕上げ」と言った位置付けの追加治療が必要になることがほとんどです。ハロウ先生は、「インビザラインライト」というごく軽症者向けのの14枚だけのアライナーの予定を組んでいましたので、料金内で追加アライナーができるのは1回だけ。その一回を、当院で引き継いで、現在ちょっとだけ残っている前歯の隙間を閉じて欲しい、というご希望でした。そのくらいなら、引き継ぎをしても大きな問題は起こらなそうです。

安比高原駅から、当院のある青山駅まで、いわて銀河鉄道で約50分。話を聞いて、私がインビザラインの引き継ぎを引き受けると回答したら、明るくて好奇心の塊のようなハロウ先生は、「街」にきたついでに、買い物も済ませてきたわ!と、これからまた海外旅行でもするのかと思うほどの大きな荷物を抱えて、いそいそと私のコンサルティングルームにやってきました。当院には外国人の患者さんも多いのですが、受付が、「先生!めっちゃフレンドリーな外人さんがきました!」と駆け込んできたほどです。

安比の素晴らしさを現地人(私)に語り続ける先生

一通り初めましての挨拶と、治療や、これからの流れについての説明が済むと、ハロウ先生の怒涛のおしゃべりが始まりました。前任地オマーンのこと、そして生まれて初めての日本が、いかに「今までの人生の環境と全てが違って」素晴らしいか。

携帯の写真を取り出し、美しいハロウスクールの外観、カフェテリア、周りのむせかえるような緑、安比高原を彩る樹々、この間登った岩手山。。。。話はつきません。

H:「任期は2年だけど、絶対に契約を延長するわ」

私:「そんなこと言っても、冬を経験したら多分少し幻滅すると思うよ。雪じゃなく、氷の世界よ」

H:「みんなそういうから、さっきこれを買ってきたわ」

ハロウ先生は、恐ろしいほどの荷物の中から、茶色い頑丈そうなブーツを取り出してみせませした。確かに、そなえあれば憂なし。しかもこの先生なら、アイスリンクの地面も大笑いしながら、なんなく歩いていくのだろうな。

実際、彼女が興奮気味に「現地人」の私に見せる安比や八幡平の写真は本当に素敵で、以前住んだことがあるイギリスの景色を彷彿とさせました。実際、イギリスに住んでいたとき、その透明な空気とむせるような緑が、「岩手の景色に似ている」と何度思ったことか、知れません。

私がそのことを言うと、ハロウ先生も、「私もそう思うわ」と大きくうなづいてくれました。

Harrowはやがて安比高原の一つの風景に。

ハロウインターナショナルが開校したからと言って、安比の自然や野山、ブナの林になんの変わりもありません。

むしろ、自然に溶け込むように計算され尽くした建築は、安比の一つの風景として、さらに風景に馴染んでいくに違いありません。

現在、約900名の生徒と、50人の職員が安比や盛岡に移住してきたことになります。学校がなければ生涯来ることのなかったであろう多くの人たちが、安比高原や岩手の自然、人々を感じ、素晴らしい教育を受け、世界に羽ばたいていけるのです。

そんな教育に携わる人たち、さらには親元離れて異国で暮らす生徒たちの歯科治療のお手伝いができたら、こんなに嬉しいことはありません。

さあ、来週の週末は、久しぶりに安比高原にいって温泉にでも浸かりましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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