【インビザラインのすすめ】インビザライン中に海外へ転勤!インターナショナルなバトンタッチ、終了!!

こんにちは。歯科医師の松浦直美です。

8月の末に、ここ盛岡から車で1時間ほど北に行ったところにある風光明媚なリゾート地「安比高原(あっぴこうげん)」に、イギリスの名門パブリックスクールであるHarrow School (ハロウスクール)のインターナショナル校が開校しました。スキーやハイキングで、子供たちが小さい頃から何度も遊びに行った大好きな安比。世界的に有名が学校が開校することで、リゾート化が進むのか、と少し危惧していました。

しかし、8月にハロウスクールに赴任した先生(ここではハロウ先生)が、治療のため当院に訪れた際に安比を絶賛したことで、そんな気持ちは吹き飛んで、むしろ今までの「のどかでおしゃれな安比」と、そこに美しく溶け込むように誕生した学校に「集う人たちが愛してやまない安比」というもう一つの素晴らしさを知って、とても嬉しく思ったものです。その時のエピソードはこちら↓

さて、本日は、明るくて素敵なハロウ先生が、無事当院での治療をスタートさせることができたお話です。

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ハロウ先生の来院理由、インビザラインとは。

さてさて、ハロウ先生が当院を訪れた理由は、「前の赴任地で始めたインビザライン(矯正)治療を、引き継いでもらえないか」というものでした。インビザラインとは、「アライナー」と呼ばれる透明なマウスピース型の矯正装置を装着することで、目立たずに歯並びを治していく矯正治療で、アメリカ発祥のシステムです。いまでは、世界中で広く使用されていて、日本でも多くの歯科医院が取り入れているシステムです。

このアライナーを約1週間ごとに取り替えることで、歯を少しずつ動かしていきます。(インビザラインHPより)

ホームホワイトニングのカスタムトレーと似ているな、と思った方。あなたも随分歯科の知識が増えてきましたね!
確かみた目はそっくりですが、このアライナーは歯を動かしていく力を秘めた特別なものです。治療の後半になると、このアライナーを利用してホームホワイトニングもできるのは、一石二鳥だなと思います。

この、うす〜い透明なアライナーに、歯を動かしていくように魔法をかけるのが「クリンチェック」と呼ばれる治療計画。専用のスキャニング装置でお口の中の記録を取り、コンピューター上でどのようにして歯を動かしていくのかを計画していきます。その計画にそって、たくさんのアライナーが米国で製造され、それぞれのクリニックに届けられます。

「クリンチェック(治療計画)」は、インビザライン治療の命とも言えるものです。計画にそって出来上がったアライナーを、患者さんに指示通りしっかりと利用してもらいます。

必ずあります、「追加アライナー」

クリンチェックで、歯が並ぶまで何枚のアライナーが必要かがわかります。

同時に、半年、1年、いや、2年かかる、などの治療期間がわかるのですが、これで治療期間が決定ではありません。インビザラインは、ほぼ必ずと言っていいほど、「追加アライナー(もしくはリファインメント)」と呼ばれる「軌道修正」や「仕上げ」のアライナーが必要になります。軽度の方でも1回、中等度〜重度の方であれば3〜4回ほど、スキャニングをし直して、新しいクリンチェックを新しく作り直す過程が出てきます。

1回目のクリンチェックででた期間が意外と短かったからと言って、喜ぶのはまだ早い、のです。担当医は、初めにおおよその期間の目安をお話しすることはありますが、それは追加アライナーを加味した期間です。さらには、治療の途中でさらに予想期間が変わることもあり得ます。

インビザラインの治療中に転勤になった!ハロウ先生の場合

インビザラインは、すべてコンピューター上でデータが管理されています。そのため、そのデータを歯科医師間で引き継いで、別の歯科医のもとで治療を続ける、ということが理論上は可能です。

理論上は可能ですが、下記の理由からあまりお勧めすることではありません。
1. クリンチェックは初めの担当医が一生懸命考えて作った命。途中でその意図もわからずに安易に引き継いだり、追加アライナーでもないのに計画を変えたりすることは理想的ではありません。
2. 患者さんが、前医から治療費を返してもらうことは難しく、さらに、引き継ぎ医にも支払いが生じるため、余分な費用がかかります。

ではなぜ、私がハロウ先生のインビザライン治療を引き継いだのか。

それは、ハロウ先生のインビザラインは、もともと軽症の方用の14枚のアライナーで、8月に日本に赴任になった際は、すでに14枚目のアライナーを装着していました。前の赴任地で、担当医からは最後に1回だけ、追加アライナーをすることをお話しされていたそうです。しかし、そこで赴任になり、私に「追加アライナー」の部分のみを依頼されました。

このように、ごく軽度の方などで、大規模なクリンチェックの変更が必要なく、治療も終盤に入っている方が、国際的な転勤などで前医に通院不可能になってしまった場合。このような事情であれば、インビザラインの引き継ぎは難しくなく、引き継ぎ医に支払う費用も少額で済むことが多いと思います(費用設定は医院により異なります)。

引き継ぎ自体はとても簡単。前医が、引き継ぎ医をコンピューター上で指定して、1枚の書類にサインをして患者さんに渡します。あとは、患者さんと引き継ぎ医のサインをしてインビザライン社に送信すれば、引き継ぎは終了。国際的な引き継ぎも、1枚の紙で済んでしまうのです。

まとめ

コロナ禍が世界的に落ち着きを見せてきて、海外へ再び動き出す方も増えてきました。逆に、長期間の滞在のために海外から日本へ入ってくる方も増えていくことでしょう。

美しい歯並びへの憧れは、もちろん世界共通。日本国内、もしくは世界の各地で、多くの方がインビザラインを始めています。

国内への転勤であれば、1〜2ヶ月に一度、前医のもとに通って治療を続けることは可能です。しかし、国際的な移動となれば話は別。まずは、転勤や留学の可能性のある方は、なるべくそれ以前に治療を終了させる計画を立てましょう。どうしても、治療途中で移動になってしまう場合は、状況に応じて担当医とよく相談することで、今回のような「引き継ぎ」が可能になることもあります。

いずれにしても、引き継ぎは最後の手段になるように、ご自分のライフプランに合わせた矯正の計画が大切です。

 

 

 

 

 

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