【白い歯相談室】人より暗い歯の色が気になったら〜テトラサイクリン歯の方へ〜

こんにちは。歯科医師の松浦直美です。

自分の歯が、どうも人より暗い気がする、と思ったことはありませんか?

あなたが今40〜60代だったら、もしかしたらその原因は「テトラサイクリン」かもしれません。

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テトラサイクリン変色歯とは

テトラサイクリンとは、1960〜1970年代に使用されていた抗生剤の一種で、風邪薬のシロップに使用されていたり、呼吸器系の病気などでよく処方されていた一般的な薬です。

この薬を歯の形成期(0〜12歳頃)に多く取ると、黄色から濃いグレーの独特な歯の変色が起こることが知られるようになり、現在ではあまり処方されなくなっています。しかし、最近では2010年代前半に流行したマイコプラズマ肺炎でテトラサイクリン系のお薬が多用されたことがありますし、現在でも呼吸器疾患や皮膚疾患で、必要があれば使用されている薬です。

歯がテトラサイクリンの影響を受けるのはあくまでもまだ骨の中で歯が形作られている時期で、歯が生えてしまってからはその影響を受けることはありません。

しかし、幼少期に服用したテトラサイクリンの影響で、「テトラサイクリン歯」という上記の変色を起こしてしまった方は多くいらっしゃいます。50代前半の私の妹も、軽度ですが、実はテトラサイクリンによる灰色がかった歯をしています。(いつものスタンスで、本人の希望がなければ治療はしません)

当院の患者さんの中にも、テトラサイクリンの影響を受けた歯の色を持つ方は意外と多く、女性の方はもちろん、男性でも気にされている方も多いいです。

このテトラサイクリン変色歯は、その変色の度合いもさまざまですが、かなり目立ってしまうことも多い症状です。この色、治すことはできるのでしょうか。

テトラサイクリンの変色はどんなもの

同じテトラサイクリン変色歯といっても、その程度はさまざまです。

また、顎の骨の中で歯は少しずつ作られますので、服用した時期によって色のつく部位が違ってきます。また、同じテトラサイクリン系のお薬でも、種類によって沈着する色が灰色だったり茶色だったり、と変わってくるとも言われています。

うっすらと黄色がかっているだけの場合もあれば、少し蒼っぽかったり、グレーや濃い青の縞模様があったり。

実際に患者さんを診ると、さまざまな症状の方がいらっしゃいますが、その症状によって以下の4段階に分類されています。(ファインマンの分類、またはテトラサイクリンの分類)

1。歯全体が黄色から灰色で、縞模様がない。
2。茶色がかった黄色から濃い灰色だが、縞模様はない。
3。青みがかった灰色で、縞模様がある。
4。かなり濃い色味がはっきりとわかる

ファインマンの分類3 縞模様が認められるグレーの着色

ファインマンの分類4 かなり濃い着色

テトラサイクリン歯を白くするためには

一般的には、上記の分類のうち「2」までであれば、通常の歯科におけるホワイトニングで対応が十分に可能です。

しかし、以前はホワイトニングの対象外とされていた「3」や「4」の方でも、1年くらいの時間をかけて辛抱強くホワイトニングを継続することで、かなりの改善が見込めるという専門家の意見も増えてきました。

当院では、3や4の症状の方にホワイトニングを継続したことはまだありませんが、現在のホワイトニングはだいぶ進化していますので、歯を削らずに少しでも色を薄くしていきたいとお考えの方は、試してみる価値は十分にあるのではないかと思います。ホワイトニングを柱に独自の事業を展開しているホワイトエッセンスでは、テトラサイクリンの分類「4」の方でも、歯科医院でのオフィスホワイトニングと、ご自宅で行うホームホワイトニングを組み合わせた「デュアルホワイトニング」を長期間続けることで、うっすらと縞模様は残ることがあっても、かなりの改善が見込めることを臨床的に確認しています。

基礎知識、オフィスホワイトニング、ホームホワイトニングなどの「歯科医院で受けられるホワイトニング」をまとめた記事はこちら↓

長期間のホワイトニングは難しい方には

1年以上の期間をかけて、デュアルホワイトニングを継続するというのは、かなりの根気とともに、費用や時間も必要です。

そこまでの努力をするのかどうかは、もちろんご本人次第。歯科医師の私としては、現在の技術があれば、かなりの濃い変色でも、歯を削らずに明るくなる方法があることは、やはりお知らせせずにはいられません。

しかし、なかなかそこまでの努力は難しい方も多いことは、容易に想像できます。

実際、当院に通院されているテトラサイクリン歯に悩む方のほとんどが、諦めているか、歯を削ってセラミックの歯を入れるなどの方法を選択しています。

その場合でも、できる限りのホワイトニングをして少しでも歯を明るくしてから、できるだけ少ない歯の切削で、セラミックの歯を接着させるなどの治療方法を相談して決めるようにしています。

まとめ

テトラサイクリンによる変色歯は、現在40〜60代の方に多いと思われますが、呼吸器系の病気などで、もちろん歯の変色よりも命を優先して薬が使用されることもあり、若い方にもみられる可能性もあります。

もし、テトラサイクリンによる変色と思われる歯の色を気にされてる方がいらしたら、まずはホワイトニングを考えてみてください。こればかりは、街角のセルフホワイトニングでは対応できず、粘り強く歯科医院でのホワイトニングを続けることで、改善が期待できます。また、ホワイトニングと組み合わせたミニマルインターベンション(MI:最低限の侵襲による治療)によるセラミック治療で、口元を驚くほど明るくすることも、今では可能になっています。

 

 

 

 

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